TriFinanceのマネージングディレクターであるPeter van Oevelen氏によれば、個々人のモチベーションのフォーカスするのはパフォーマンスに良い影響を与える。また、キャリアを自分自身の手で握らせるようにもでき、優秀な人材が組織に集まるようになる。
Dare Festival Antwerp 2014にて、氏は人を第一に考えることについて、人材開発に関する自身の経験を共有しながら話した。
InfoQは氏にインタビューをして、動機付けについて、チームのムードに影響を与えることについて、急進的なマネジメントを実践することについて、動機付けの経済、独自のアイディアと選好と動機を持った個人による効率的なチームについて、話を聞いた。
InfoQ: なぜ、組織は個人の動機付けに注意を払うべきなのでしょうか。
Peter: 組織が個人の動機付けに注力するべき理由はたくさんあります。まず、最も重要なこととして、動機付けが業績に良い影響を与えることがいくつかの研究で明らかにされています。動機付けと約束が生産性の大きな部分に影響を与えるのです。しかし、動機付けが大事なのには、他にもたくさんの間接的な理由があります。私たちたちが働いている新しい時代は、タレントが枯渇しています。新しい世代の働き手はもはや、自分の動機付けやニーズを考慮しない組織では働かないのです。それゆえ、組織にとっては、雇用主としてのブランディングで新しい世代の人々を魅了し雇用する必要があります。労働力の動機付けを無視することは、(文字通り)お金の無駄遣いなのです。
InfoQはアジャイルチームのムードに影響を与える要因について調査しています。あなたはどう思いますか。
Peter: どんなチームでも信頼が最大の要因です。オープンになること、建設的なコミュニケーションをすることが、最終的に優れた結果をもたらします。信頼の次は、チームとして働くように組織化するためのスペースです。厳密な階層構造がない場合、チームのムードは良くなります。
InfoQ:Dare Festivalでは、急進的なマネジメントの原則について話をしました。詳しく説明していただけませんか。
Peter: Steve Denning氏が数年前、組織のマネジメント方法として急進的なマネジメント(radical management)を提唱しました。このマネジメント方法を導入しているわけではないのですが、考え方自体に含まれている要素が私たちの会社で大きな価値となり幅広く活用されています。
原則は完全に新しいものではありません。しかしDenningは従来のマネジメントに、変化を加えています。組織の目的を変え(お金を稼ぐことから顧客を喜ばせることへ)、マネージャの役割を変え(従業員を管理することから、自走するチームを作ることへ)、仕事を組織化する方法を変え(官僚制から自己組織化へ)、価値を変え(効率性から幅広い価値へ)、コミュニケーションスタイルを変えました(トップダウンから水平へ)。
TriFinanceでは、上の内容に同意し、さらに組織の目的を尊重しています。私たちは従業員にとっての“方向を見つけるプラットフォーム”でありたいと考えています。また、非保有ポリシーを運用しています。これは、遅かれ速かれ従業員に辞めてほしいということではなく、私たちの会社での自分の未来ではなく、会社の外での未来についても考えてほしいということです。成長できる限りにおいて、一緒に働きますが、彼らは常に成長の機会を模索しています。事前に定義したキャリアパスはありませが、私たちのLiving MeIncプラットフォームを活用することで次の方向を見つけられます。Living MeIncは単なるコンピテンシーマネジメントシステムではなく、人の好みと意志を豊かにするものです。
InfoQ: 動機付けの経済について簡単に教えてください。
Peter: 私たちは動機付けの経済という概念を導入しました。規模の経済という従来からある原則よりも、持続可能な影響を与えるからです。どんな意思決定であれ、規模の経済と動機付けの経済の両方で判断します。もし、規模の経済の良好な成果が動機付けの経済のマイナスの結果で相殺されてしまうのであれば、全体の結果はマイナスです。多くの意思決定において、動機付けは考慮されていません。
働き方、スペースの提供、プロフェッショナルへの支援によって、従業員は啓発され、顧客に高い動機付けを伴って対峙します。事前に定義されたキャリアパスはありません。Living MeIncを活用し、コーチに支援してもらいながら、自分たちでキャリアを作るのです。従業員が次のステップを考えること、場合によってはこの会社の外でのキャリアも考えることは、自分のキャリアを自分の手中におさめる機会を与えることだと考えています。言うまでもなく、未来が自分の手の中にあるという感覚は高い動機付けを生みます。
“より高い成果を促進する”ことと“従業員の成長を通じて成長する”ことは私たちの会社の基本です。
チームと協力は成果を生み出すと考えられていますが、私たちは皆1人の個人です。独自の考えや好み、動機を持っています。どのようにしたら効果的なチームができるでしょうか。
Peter: これはある種のパラドックスのように思えますが、違います。直感に反しますが、個人に注目することはチームワークを阻害しないのです。プロフェッショナルは、面白いプロジェクトの連なりとしてキャリアを捉えています。そして、チームワークの価値も自分で開発するべきだということを知っています。プロフェッショナルが従来の昇進が成功であるというキャリアの階段を離れ、成功の指標として、成長と開発を考慮するようになっています。
私たちは共通の目的や、ひとつのストーリーの周りの周りにチームを作ります。個人の目的はチームの目的とそろえるべきです。誰もがあるトピックや特定の領域の周りに知識のサークルを作ることができます。多くの場合、このような知識のサークルは専門家のチームの出現に結びつきます。例えば、プロセス改善の周囲から生まれた専門家チームは、実在のビジネスユニットに変わります。