アトランタで開催されたConvergence 2015において、Microsoft CEOのSatya Nadella氏がAzure IoT Suiteを発表した。これは複数のMicrosoft IoTアセットをひとまとめにして提供するものだ。
Azure IoT SuiteはIoTソリューションの課金、モニタリング、分析を可能にするクラウドサービスで、この数ヶ月のうちにプレビュー版が提供される予定だ。Microsoftによると、Azure IoT Suiteは関連するAzureの機能をフル活用することで、デバイスやセンサーを接続し、それらが生成する多様で膨大なデータを記録し、そのデータのフローを統合、調整し、それを管理、分析して、意思決定者に示すことができるという。
エンタープライズ顧客を引きつけようと、Microsoft、IBM、Oracle、SAPといった従来からのプラットフォームベンダーたちがこぞってIoT戦略に投資している。Microsoftは、クライアント側にはWindows 10を、クラウド側にはAzureを使うことで、自社のIoT戦略を集約しようとしている。クレジットカードサイズのARMベースPCであるRaspberry Pi 2では、Linux OSに加えてWindows 10も動くようだ。
Microsoft Azureはすでに、IoT開発者にとって重要な構成要素となるサービスを備えている。現在、彼らのプラットフォームはAzure IoT Servicesというブランドで以下のサービスを提供している。
- Azure Event Hubs - Event HubsはスケーラブルなPub/Subインジェスターで、1秒間に何百万ものイベントを扱い、接続されたデバイスやアプリケーションが生成する膨大なデータを処理、分析することができる。
- Azure DocumentDB - Azure DocumentDBはNoSQLドキュメントデータベースサービスで、データベースエンジン内でJSONとJavaScriptを直接ネイティブにサポートするよう設計されている。
- Azure Stream Analytics - Stream Analyticsはイベント処理エンジンで、デバイスやセンサー、インフラ、アプリケーション、データからリアルタイムに知見を得るのに役立つ。
- Azure Notification Hubs - Notification Hubsはスケーラブルなモバイルプッシュ通知エンジンで、何百万ものメッセージをiOSやAndroid、Windows、Kindleデバイスに送ることができる。
- Azure Machine Learning - Azure Machine Learningはウェブブラウザのみの設定から、ドラッグ&ドロップ操作と簡単なデータフローのグラフを使用した実験の設定まで、データサイエンティストに最新の体験を提供する。
- Azure HDInsight - HDInsightはApache Hadoopをベースとし、ウェブのクリックストーム、ソーシャルメディア、サーバのログ、デバイスやセンサーなどからの非構造化データや半構造化データを処理することができる。
- Power BI - Power BIはどこでもどんなデバイスでもExcelレポートを共有、共同作業、アクセスできるクラウドサービスだ。
Microsoftは昨年、Azure Intelligent Systems Serviceのプレビュー版をローンチした。これはセンサーやデバイスから生成されたデータを、企業が簡単に、安全に接続、管理、記録、変換できるようにするサービスだ。クラウドおよびエンタープライズマーケティング担当コーポレートバイスプレジデントのTakeshi Numoto氏は、Intelligent Systems Serviceは出発点であり、Azure IoT Suiteはそれを進化、成熟させたものだと語っている。
また、MicrosoftはIoT Quick Startプログラムを拡張して、顧客がIoT分野におけるビジネス優先度を見極められるよう、半日の無料コンサルテーションを提供する。顧客のシナリオに特化した「Proof of Concept(コンセプト実証)」には、Microsoft Consulting Servicesが参加する。
ウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点とする産業用オートメーション会社Rockwell Automationは、IoTデプロイメントにMicrosoftクラウドプラットフォームを使っているそうだ。