Microsoftは,同社の研究プロジェクトであるTouchDevelopを,オープンソースとして公開した。おもにTypeScriptで記述された,160K行のコードが含まれている。
TouchDevelopは,HTML5やTypeScriptを使ったモバイルアプリケーションやWebサイトを,ブラウザ上で開発するための,タッチフレンドリなツールだ。デバッガとプロファイラ,ロギング,ゲーム用の物理エンジンが付属する。タッチ操作の可能なAndroidやiOS,Windowsデバイスの他,WindowsやLinux,あるいはMacラップトップでマウスとキーボードを使用して,ローカル開発を行うことができる。これらすべてのプラットフォームに加えて,Arduino(アルドゥイーノ)をターゲットにすることが可能だ。MicrosoftがAzure上でホストしているバックエンドに接続して共有したり,コミュニティコラボレーションを行うこともできる。
Microsoft Researchの製品としてTouchDevelopが最初に発表されたのは2012年だが,当初は我々の注目を引くようなものではなかった。ツールは3つのスキルレベル,すなわちBegginer, Coder, Expertをサポートしているが,初めてモバイルアプリやWebサイトを作って楽しみたいような,児童あるいは学生を対象としているため,カジュアルな開発者は違和感を感じている。ツールのインターフェースはタッチ操作に最適化されているので,理屈の上からはタブレットやスマートフォンでも開発可能だが,使い慣れたIDEから移行する開発者がいるとも思えない。
今回の記事でこれを取り上げたのは,MicrosoftがTouchDevelopのソースコードを,寛容なMITライセンス下で公開したからだ。TypeScriptを主体として,一部にCSSやHTMLを含む約160,000行のコードを,部分的に再利用したり,学習材料にすることが可能になった。プロジェクトでもっとも重要なコンポーネントは,IntelliSenseを備えたエディタだ。
同社研究員であるMichał Moskal氏によると,Microsoftは今後もTouchDevelopの開発を継続する予定であり,コミュニティからのコントリビューションを歓迎しているということだ。