Googleは,オープンソースソフトウェアのリポジトリを自社クラウドにローンチするために,Bitnamiと提携した。Google Cloud Launcherと名付けられたこのサービスによって,ワンクリックデプロイメントをユーザに提供する。
IaaS(Infrastructure as a Service)を利用する開発者は,VM上でアプリケーションを実行する前に,さまざまなソフトウェアのインストールや設定を行わなければならない。このプロセスがアプリケーションのデプロイ作業を時間のかかる,エラーの起きやすいものにしている。この問題に対処するためにGoogleは,自社のプラットフォームにClound Launcherを追加した。一方のBitnamiは,オープンソースの仮想アプリケーション市場をリードする企業として,構成済み仮想マシンイメージのリポジトリを提供している。Googleでは今回のサービスを開始するにあたって,120を越える人気のオープンソースソフトウェアパッケージを用意するということだ。
Cloud Launcherが提供するのは,Apache Solr, Django, Gitlab, Jenkins, LAMP, Node.js, Ruby on Rails, Tomcatといった人気のオープンソースソフトウェアパッケージだ。MongoDB, MySQL, PostgreSQLなどのデータベースや,Wordpress, Drupal, JapserReports, Joomla, SugarCRMといったアプリケーションも含まれる。イメージはいずれも,Google Compute Engine上での稼働に合わせて最適化され,十分なチューニングが行われている。VMにはGoogle Cloud Monitoringのフックがあり,オペレーティングシステムとアプリケーションソフトウェアの稼働監視やパフォーマンス計測が可能だ。
スペインのセビリアで2003年に創業したBitnamiは,主流のオープンソースアプリケーションや開発スタックを対象とした,高品質のインストーラとアプライアンスの提供に特化した企業である。同社のBitnami StacksはLinux, Windows, Mac OS X, Solarisで利用することができる。同社のパッケージは,Virtual BoxやVMware上で動作するVMとして自身のマシン上で実行することも,AzureやGoogle Cloud Platform, Amazon Web Serviceなどのパブリッククラウドプラットフォーム上で運用することも可能なものだ。
Googleとのパートナーシップについて,BitnamiのCOOであるErica Brescia氏は,次のように述べている。
サーバおよびアプリケーションの展開と構成を簡単にするGoogleとの提携を嬉しく思うとともに,これからのGoogle Compute Engineとの統合の拡大に期待しています。優れたユーザエクスペリエンスの提供は,当社にとって極めて重要です。Compute EngineはBitnamiのユーザに,数回クリックするだけで望みのアプリを展開できるという,素晴らしい手段を新たに提供してくれるのです。
2013年にMicrosoftがローンチしたVMDepotは,Google Cloud Launcherと同様な,コミュニティ管理によるオープンソースイメージの管理型カタログサービスだ。
Google Cloud Launcherはまだ,本当のVMイメージのマーケットプレースではない。Amazon Web ServicesやIBM SoftLayer,Microsoft Azureといったクラウドプロバイダはいずれも,エンタープライズソフトウェアアプリケーション,プラットフォーム,インフラストラクチャを扱う活発なマーケットプレースを用意している。いずれもユーザは,OracleやSAP,WebLogic,SharePointなどのソフトウェアスタックをVM上で実行することができる。Googleはまだ,企業ユーザ向けにマーケットプレースをローンチしようという段階だ。