OpenStack専門企業のMirantisがCloud Foundry Foundationへの参加を発表した。
共同設立者でCMOのBoris Renski氏がブログに，Cloud Foundry Foundation参加を決めた経緯について書いている。さらに氏は，同社がオープンソースCloud Foundry PaaSのディストリビューションを開発する意思のないことも明らかにした。それによると，
私たちはOpenStackに専念するとともに，最高クラスの外部技術をOpenStackに積極的に取り込むことが，Mirantisにとって最善の戦略的行動であると強く信じています。今回の私たちの決定は，クラウドの構築方法の選択肢をユーザに対して提供する上で，これが最良の方法であるという理由によるものです。この考え方は，PaaSレイヤにも適用されます。
Mirantisは，OpenStack上でプロフェッショナルサービスを提供するために設立された企業だ。同社はその後，HPやRed Hat，Rackspaceなどと競ってOpenStackディストリビューションを開発した。
MirantisがCloud Foundry Foundationに参加したのには，同社のオープンソースPaaSと，オープンソースIaaSであるOpenStackとの親和性を向上させる，という意図がある。氏は先日発表されたNebula - OpenStack市場において先駆けとなった企業 - の廃業を引き合いに出しながら，Cloud Foundryのエコシステムにも同様の淘汰を見ることになるだろう，と予測する。さらに氏は，PaaS市場のプレイヤとしてのDockerやコンテナの影響も指摘している。
Cloud Foundryを開発したVMwareは，当初からそのソースコードを公開していた。VMwareとEMCが同社の開発プラットフォームとビッグデータ製品のスピンオフを決めた2013年には，そのコマーシャルな実装がPivotalに取り込まれている。並行してIBMやHP, SAP, Intel, GEといった大手がサポートを約束したことにより，Cloud Foundry Foundationの普及に大きな弾みがついた。現在ではActiveStateのStackato，IBMのBluemix, CenturyLinkのAppFog, Pivotal CFなど，１ダースを越えるCloud Foundryのコマーシャル実装がある。先日には業界のベテランであるSam Ramji氏が，Cloud Foundry FoundationにCEOとして参加している。
Dockerとコンテナの勢力拡大も，PaaS市場に少なからぬ影響を与えた。GoogleやRed Hat，さらにはMicrosoftなどの従来型PaaSベンダも，自社のプラットフォームへのDocker実装に向けた開発を続けている。
氏はPaaSのプレイヤに対するコメントで自身の記事を結んでいる。
PaaS市場の目まぐるしさを考えれば，私たちMirantisとしてはむしろ，私たちが最も得意とするOpenStackに固執するべきではないかと思います。加えて，ユーザにはCloud FoundryやDocker，OpenShift，Kubernetes，あるいはその他PaaSプレーヤといった選択肢があって然るべきです。私たちのミッションは，OpenStackを最高のものにすることであり，Cloud Foundry Foundationへの参加は，その方向への重要なステップなのです。