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見積もりなしの意思決定戦略

原文(投稿日:2015/03/23)へのリンク

最近のHarvard Business Reviewの記事によると、 ITプロジェクトのうち6つに1つが200%のコスト超過にあるそうだ。 Stride Consulting CEOで共同創業者のDebbie Madden氏は、見積もらないことに関する考えをブログ記事「Your Agile Project Needs a Budget, Not an Estimate」で紹介した。 彼女はこう言う。見積もりは失敗する確率が高いので、見積もりをやめて予算編成をしよう。

どんなソフトウェア開発プロジェクトも次のような質問から始まる。これにはどれくらいコストがかかるのか? どれくらい時間がかかるのか? どれくらい人を雇う必要があるか?などなど。こうした質問にはいずれも単純な回答がある。「見積もらせてくれ、折り返し連絡するから。」Debbie氏はこう語る。

多くの戦略的意思決定にとって、見積もりは細かすぎます。見積もりはソフトウェアプロジェクトを1・日単位に細かく分解します。10万ドルプロジェクトにとって、それは大変な作業になります。100万ドルかそれ以上のプロジェクトにとって、それはとてつもない作業になります。もしプロジェクトの開始時点でプロジェクト全体をこうした見積もりに分解しようとしているなら、何週間も時間を無駄にすることになります。なぜかって? プロジェクトの開始時に、こうした細かなレベルで正しく見積もることなど、到底できないためです。

OikosofyのマネージングパートナーであるVasco Duarte氏は、最近のブログ記事において、ビジネス判断をするときの見積もりに代わる方法を紹介している。彼は意思決定戦略を定義しながら、次のような問いに言及している。

  1. この意思決定案は私たちのビジネス目標を達成するのに、どれくらい役に立つだろうか?
  2. この意思決定によるリスクプロファイルは、私たちが受け入れ可能なリスクプロファイルに合っているだろうか?

Vasco氏は長ったらしい事前の見積もりプロセスを必要としない、ソフトウェアプロジェクトに適用可能な意思決定戦略を5つ挙げた。

  1. 最初に、最も重要な戦略的仕事をしよう – 新しい戦略を実行するために、十分なチームを割り当てて、選択した戦略を検証して微調整する仕事にリソースを割り当てよう。
  2. 最初に、最も高い技術的リスクに取り組もう – 新しいアーキテクチャへの移行や新しいテクノロジーを導入する場合には、その技術的判断を検証する仕事から始めよう。
  3. 最初に、最も簡単な仕事をしよう – チームの拡大時には、簡単な仕事を与えることで、メンバーが互いを知り、一緒に仕事をすることを学ぶ機会を提供しよう。
  4. 最初に、法的要件に取り組もう – 医療系ソフトウェアには満たさなくてはならない規制がある。そうした規制は仕事やアーキテクチャの一部に影響を及ぼすことになる。アジャイルをうまく導入したある医療機関が、このプロジェクト意思決定戦略を採用していた。彼らは計画したリリースの何ヶ月も前に商品を売り始めることができ、かなりのビジネス優位性があった。
  5. 債務主導投資モデル – これは投資戦略から借用したもので、自力で起こしたビジネスが直面するのに似た問題に対処することを目的としている。私たちは今やるべき仕事は何か、その結果、近い将来そのビジネスに投資できるか? このアプローチでは、将来の債務に投資するために必要とされるキャッシュフローを生成するために意思決定をする。

これらは事前の見積もりに投資することなく、プロジェクトあるいはビジネスの意思決定を助けるための投資もしくは意思決定戦略にすぎません。

こうした意思決定戦略はいずれも成功を保証するものではありませんが、そうは言っても、ハードワーク、忍耐、安全な実験以外にやることはありません。

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