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Jurgen Appelo氏の提案する"チャンキング"生産性向上テクニック

原文(投稿日:2015/04/16)へのリンク

Happy Melly CEOでManagement 3.0著者のJurgen Appelo氏は先日,生産性を向上する作業管理の新技術“チャンキングテクニック(chunking technique)”についての記事をポストした。チャンキングテクニックとは何か,氏は次のように説明している。

  • チャンキング(心理学)とは,記憶課題を実行する時に,個々のグループが応答する現象である。
  • チャンキング(文書)は,概念を情報の小片に分割する,情報の表現方法である。

このようにチャンキングには,小さなものを集めてより大きなチャンクにするという意味と,大きなものをより小さなチャンクに分割するという,両方の意味があります。

氏は作業のチャンクについて,10分から1時間程度,平均すると30分未満継続する,任意の集中的活動だと定義する。チャンクは10分から60分の明確に定義されたアクティビティである。その内容は完結したひとつのタスクか,より大きなものの一部,あるいは小さなものをいくつか集めたグループのいずれかだ。氏はチャンクの要件を3つ挙げている。

  1. 自然で論理的な開始と終了があること。
  2. 中断されないこと(選択権が与えられている場合を除く)。
  3. ただし,チャンク間の中断は問題ない(望ましくさえある)。

チャンクキングテクニックは,ポモドーロ(Pomodoro)テクニックとは違う。ProgrammingWithFrancescoを主催する,プロダクトマネージャで開発コンサルタントのFrancesco Cirillo氏が生み出したポモドーロテクニックは,最大限の集中力と創造性の鮮度を提供することで,少ない精神的疲労で早期のプロジェクト完了を可能にすることを目的とした,時間管理の理念である。作業を25分のタイムボックスに切り分けて,強制的に休息を取るという方法だ。

氏は,チャンキングテクニックとポモドーロテクニックの極めて重要な違いとして,ポモドーロとは異なり,チャンクの時間が自然な長さで,さまざまである点を強調する。

キッチンタイマの設定によって25分後に作業が中断される状況は,私には理解できません。私のチャンクのいくつかは35分続き,そこで完了するものです。25分後に割り込まれるようなことを,なぜ自ら容認できるでしょう?作業の流れが中断してしまいます!ストレスですし,タスクの切り替えが増えるだけです。それに,10分あるいは15分単位で集中する小さなチャンクの連続では,なぜいけないのでしょうか?先週金曜日の私のチャンクの平均時間は約28分でした。ポモドーロテクニックのタイムボックスの既定値とほぼ同じです。ですが私としては,キッチンタイマで厳格に決められるよりも,チャンキングメソッドの多様性や柔軟性の方を選びたいのです。タスクは完了したときに終わるのであって,ベルが鳴った時ではありません。

ポモドーロテクニックは,同じ大さのレンガでできた壁のようなものです。 チャンキングメソッドの方は,大きさがまちまちの石造りの壁,といったところでしょう。

ソーシャルメディアを専門とする著作者のTucker Cummings氏 は,ポモドーロテクニックに対する自身の見解をブログに書いている。このプロセスは万人向けではない,特にラインで働く人には向いていない,と氏は言う。ただし,毎日のToDoリストに取り組む体系的な方法を求めているのであれば,ポモドーロテクニックの方がニーズに合うかも知れない。

ポモドーロテクニックは,最大限の集中力と創造性の鮮度を提供することで,少ない精神的疲労で早期のプロジェクト完了を可能にすることを目的とした,時間管理の理念だ。

Yahooに勤務するブロガのColin T. Miller氏は,ポモドーロテクニックを使用してみて,自身の見解を次のようにブログに書いている。

ポモドーロはオール・オア・ナッシングです。25分間を目一杯働いてxを付けられるか,ポモドーロを完了できないかのどちらかなのです。xをマークするのは進捗を測るためのサインですから,結果的にxを付けられないとなると,アクティビティに関わることを敬遠するようになります。さらには会議も,ポモドーロを妨害します。午後4:30にミーティングがあるとしましょう。今は午後4時10分です。つまり,ミーティングまでは20分しかありません。ここでポモドーロをスタートさせても,20分ではそれを終えることはできないでしょう。

プレゼンテーションや情報交換など長時間のミーティングで,1時間毎に5分の休憩が入るような場合も,ポモドーロにとってはやや難しい状況になります。

別々のトラックを走るミニ・ポモドーロの連続体のような,もっと小さな時間単位を有意義に扱うためのよい方法を作り出したい,と氏は言う。

Appelo氏は,気を散らさず,一度にひとつのことに集中するようにアドバイスしている。1時間以上必要な作業はチャンクに切り分けて,ひとつひとつが1時間以内に完了できるようにする。小さな作業がたくさんあるのならば,まとめてひとつのチャンクにして,少なくとも10分の作業にする。チャンクの間には頻繁に休憩ができるようにしておいて,心をクリアにし,作業の進捗や成果を楽しむことが必要だ。

オーラルロバーツ大学で経営学の助教授を務めるDavid Burkus博士は,氏に次のように語った。

頭の中に“居座っている”仕事を“暖めて”おけば,もっと創造的なアイデアを生み出すことができます。それでもやはり,チャンキングによってタスクの切り替えを避ける必要はあります。カラフルな壁を,ひとつずつの石で作り上げるのです。

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