Debianプロジェクトが新しいstableバージョン、コードネーム“Jessie”を発表した。この新しいOSには、これまで使われてきたSystemVを置き換えるsystemd
への移行と各種改善が含まれている。
Debian 8には24,573ものアップデートされたパッケージが含まれており、これは前のstableリリースにおける全パッケージの66%に相当する。だが、最大の変更はもちろん、systemdの導入だ。
systemdは、システム管理と設定を可能にする一連のデーモン、ライブラリ、ユーティリティだ。systemdをデフォルトで有効にするという決定は、Debianプロジェクト内でかなり議論を呼び、Debianをフォークした新しいディストリビューションDevuanをもたらした。systemd
に反対する主な理由は、「極めて侵略的で、ほとんど正当化できない」アーキテクチャにある。一部の開発者たちは、これは一つの仕事だけに特化した、小さな独立したプログラムを好むという、基本的なUNIX哲学に反していると考えたのだ。いずれにせよ、言っておくべきことは、systemd
はデフォルトでDebian 8にインストールされるが、インストール時に無効にすることができるということだ。以前のDebianバージョンをJessieにアップデートするには、既存のsysvinit
initスクリプトをsystemd
に対応させるため、アップデートの作業が必要になるだろう。Scott Gilbertson氏によるArs Technicaのレポートによると、initスクリプトが失敗するのには$HOME
変数や/sbin/chkconfig
といったツールの使用など、実際にはさまざまなケースがあり、systemd非互換性リストは必読だ。
systemd
以外にも、Debian 8は2つの新しいアーキテクチャ、arm64とppc64のサポートを追加した。これでサポートするアーキテクチャ数は10になった。またDebian 8では、開発者不足のため、これまでサポートしてきたIA–64とSparcを含む3つのアーキテクチャを削除している。さらにDebian 8ではレガシーなSSLv3と多数の暗号ライブラリが無効になり、アプリケーションはそのサポートなしでビルドされている。
Debianプロジェクトの発表によると、Debianは「苦もなく、その場で、強制ダウンタイムなしに」アップグレードできるという。ただし、リリースノートとインストールガイドを読むことが強く推奨されている。Debian 8は今後5年間サポートされる予定だ。