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アジャイルでの不確実性と発見的なマインドセット

原文(投稿日:2015/06/11)へのリンク

Agile Eastern Europe 2015Andrea Provaglio氏発見のマインドセットを育てることについて語った。

InfoQは氏に、実行、最適化、発見のビジネスモデルについて、不確実性を使って、ビジネス価値を産むこと、価値とコストの両方を理解すること、発見のマインドセットを育てること、失敗し、そこから学ぶ勇気を持つ文化を生み出すことについて話を聞いた。

InfoQ: ビジネスモデルが実行や最適化、発見にどのように関係するか、話をしましたね。簡単に説明していただけますか。

Provaglio: 講演では、ソフトウエア開発で私たちが直面することに役に立つ概念的なフレームワークについて話ました。設計方法やビジネスモデルなどについてです。"実行のマインドセット"は後期産業時代のテーラーイズムから継承した従来のウォーターフォールの手法を関係させ、"最適化のマインドセット"をトヨタ生産システム、リーン、カンバンと関連させました。私たちは価値の流れを最適化しようと注意を払い、ばらつきを最小化しようとしています。"発見のマインドセット"は不確実生と分散に対処する経験的な方法と関連させました。これは、アジャイルの世界で一般的です。

健康的なビジネスモデルは3つの要素の合成でできているという見通しを話しました。実行と最適化と発見です。それぞれがそれぞれを支えます。

InfoQ: 発見は不確実さを伴います。不確実さは難しいものです。不確実さを扱い、ビジネス価値を生み出す例を知っていますか。

Provaglio: 考えすぎることはありません。アジャイルの方法がまさにそのものです。私の考えでは、アジャイルは不確実さを人生の事実として受け入れ、かなり多くの方法を提供し不確実さを扱い、決定を最後の瞬間まで先送りしたり、以前の決定を振り返ったりできるようにします。フィードバックのループで多くのデータが集まるからです。進むにつれ、発見したことに対して素早く反応することが、不確実性を活用してビジネス価値を生み出す方法です。

InfoQ: 価値とコストの両方を理解することがなぜ重要なのでしょうか。どうやったら理解できますか。

Provaglio: これは複雑な話題です。私たちは普通、価値やコストを金融(例えばお金)に関連付けます。確かに金融は重要なのですが、しかし、価値/コストの等式の小さな一部にすぎません。価値とコストは多元的なのです。

例えば、コストは単にどれだけ支出したかだけではありません。例えば、何かをしなかったがゆえに失った潜在的収益(遅延のコストと呼ばれる)、短期的な成果を脆弱に設計されたコードで追いかけたがゆえに抱えてしまう金銭的な負債。そして、このようなコードは長期的には変更が難しくなります。

価値はもちろん、多元的です。それぞれの利害関係者がそれぞれ異なる次元で価値を見ています。例えば、企業を立ち上げた社長は製品に関連する企業イメージに強い関心を寄せるかもしれません。利益には直接関係しないにも関わらず、です。プロダクトマネージャもある程度は企業イメージを気にするかもしれませんが、高い収益や新しい顧客の獲得に役にたつであろう機能を速やかに提供することに"価値"を置くかもしれません。

ここで、こんな複雑な話題について、アドバイスできることはありません。言えるとすれば、価値やコストを複数の次元で考えるということです。お金だけではなく。

InfoQ: 発見のマインドセットを育てる方法についても話しましたね。発見のマインドセットとはなんなのでしょうか。

Provaglio: 私にとっては、発見のマインドセットは不確実性を人生の事実として受容すること、そして、プロジェクトが進み、望みが大きくなるにつれて、不確実性をより良く扱う方法を開発することに根ざします。このように考えることは経験主義を理解することです。そして、複雑思考について少し知り、非難をせずに、いくらかの勇気を持つことです。

InfoQ: あなたの考えでは、人々が失敗を恐る原因とはなんでしょうか。

Provaglio: まず、失敗とは何か、何が失敗でないのか、を明らかにする必要があるでしょう。

ミッションクリティカルなシステムの本番運用環境のデータベースを消してしまった、というのは確かに失敗です(巨大な失敗です)。しかし、全体を実装する工数を過少に見積もってしまったため、その中のいくつかの機能だけをリリースする、というのは、私の考えでは、失敗ではありません。

最初の場合では、ルールや手続きやエンジニアリングの方法などを違反したのでしょう。ふたつ目は、単に仮説が間違っていたということです。この場合は、実行したいと考えていたことの複雑さに対する仮説が間違っていたのです。これが失敗と認知されるのは、未来を完全に予測できると仮定した場合です。そうであれば、"予知"が失敗したということになります。.

もちろん、私は、誰もが未来を予知できると考えている人ばかりだとは思いません。私たちができるのは、進むにつれて見つかることに賢く適応するということです。これが、経験的な手法そのものであり、発見的なマインドセットということです。

また、ここでは詳しく触れませんが、"失敗すること"が歓迎されない理由のいくつかは、私たちの成長や、非難の文化がある組織で働くことを通じて獲得したメンタルモデルでしょう。

InfoQ: 失敗し、そこから学ぶ勇気がある人がいる文化を育てるにはどうしたらいいのでしょうか。

Provaglio: リーダーはそのような文化を育てるのに最高のポジションにいます。"マネージャ"ではなく、"リーダー"という言葉を使ったことに注意してください。このふたつは別です。リーダーは人の方を向いています。マネージャは人(HR部門とは言いますが、人はリソースではありません)以外のすべてのリソースの方を向いてます。

私の考えでは、リーダーの責務とは、非難の文化に対する対応策を実行すること、失敗していいから、考えを自由に述べ、仮説検証することは、安全に実施できることであると人々が感じられる環境を作ること、そして、組織内で人を取り立て、責務を共有することです。

リーダーシップは複雑なタスクです。実際、これ以上に説明できることもあります。しかし、ここでは、話をシンプルにしておくため、次のようにだけ伝えたいと思います。すなわち、私は内部を帰ると外部も変わるというと考えています。言い換えれば、リーダーは自分自身を変えることによって、変化を生み出すのです。

InfoQ: 毎日の生活で発見をするためにはどうしたらいいでしょうか。

Provaglio: 今まで話して来たことは個人の生活にも当てはめられます。言い直せば、複数の選択肢をオープンにしておくこと、情報が多く持っているときは、回答できる最後の瞬間まで決定を遅らせること。本当に価値を置いていることを明確にし、コストの複数の次元を管理すること。優先順位を頻繁に見直すこと。リスクを評価し、そのリスクをどの程度受容できるか決めること。実践したいのなら、次の休暇からでも始められますよ。

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