MozillaがFirefox 39をリリースした。当初の安定性の問題が解決された最新バージョンだ。
プロダクト管理ディレクタのChad Weiner氏はInfoQに対して，“プレリリーステストでこれまでにない数の，サードパーティアプリケーションに起因する安定性の問題が明らかになったため，相当数のユーザが影響を受ける可能性があると考えた”のだと述べている。
コミュニティの一部メンバは当初の不安定なリリースに気付かず，Mozillaのサポートフォーラムには，バージョン39が予定を遅れた理由についての問い合わせがあがっていた。それに対する回答は，“リリース直前になって起動時のクラッシュ”が見つかったため，それが解決するまでリリースを延期するというものだった。安定版がリリースされたのはその数日後だ。
待望久しい今回のリリースには，CSSスクロールスナップポイントのサポート，新しい共有機能，改良された開発ツールなどが含まれている。
Matthew Claypotch氏は，“Trainspotting: Firefox 39”と題したMozilla Hacksの記事に，チームが“UserVoiceの開発者の声を聞き入れたことで，そのフィードバックによって，さらにパワフルで，使いやすいツールが出来上がった”，と書いている。その一例が，Inspectorのマークアップビュー内でのノードのドラッグ・アンド・ドロップだ – これによって要素をクリックし，ホールドして，希望する場所にドラッグできるようになった。
最新リリースのもうひとつの改善点は，CSSスクロールスナップポイントのサポートだ。 Mozilla Developer Networkの提供する情報によれば，“scroll-snap-points-x CSSプロパティとは，適用対象となるスクロールコンテナのコンテント内での，スナップポイントの水平方向の位置を定義する”ためのものだ。Claypotch氏はこれを簡単に，Web開発者が“軸に沿った特定の位置に対して要素のスクローリングをスムースにスナップするよう，ブラウザに教えるためのもの”だ，と説明している。
熱心で献身的なサービス開発者たちの要求に応えて，Firefox 39はFetch APIを公開した。Fetchは，RequestオブジェクトとResponseオブジェクトの一般的な定義を提供することで，サービス開発者やキャッシュAPIなどの将来的なニーズに応えるものだ。Webコンテンツ全般を対象としたFetchはすでに利用可能だが，CacheやCacheStorageにはフラグ操作が必要な点に注意が必要だ。
開発者用ツール以外に関して，今回のリリースでは，Mozillaのブラウザ内ビデオチャットツールであるFirefox HelloにFirefox Shareが統合されている。今週初めのMozillaブログの記事によると，今回のこのアップデートによって，ブラウザに統合された任意のソーシャルメディアネットワークで，Helloの対話へのリンクを共有できるようになる。
リリース39のもうひとつの重要な特徴は，フィッシングやマルウェアからの保護機能が組込みで含まれていることだ。この保護機能は，頻繁に更新される報告済フィッシングあるいはマルウェアサイトのリストを参照して，サイトをチェックすることで動作する。ファイルがダウンロードされると，Firefoxはそのディジタル署名をチェックした上で，既知の安全な発信者のリストからの検索を実行する。
機能に関連したプライバシの問題については，Mozilaのセキュリティおよびプライバシ担当のシニアエンジニアリングマネージャであるSid Stamm氏が以前に，“Improving Malware Detection in Firefox”と題した記事で説明している。
Firefox 39では，コードインスペクションを通じて発見された脆弱性を含む，クリティカルなセキュリティバグもいくつか解決されている。その中には“初期化されないメモリ使用３件，悪用可能なクラッシュにつながる検証不足１件，ZIPファイル内の非所有メモリ参照１件，バッファオーバーフロー２件”が含まれている。
その他のクリティカルなバグとして，さまざまなメモリ安全性の問題 (rv:39.0 / rv:31.8 / rv:38.1)などもフィックスされた。バージョン38以降の修正内容はリリースノートで確認することができる。
MozillaはFirefoxプロジェクトへの新規参画者を歓迎している。InfoQ読者も，さまざまな方法でFirefoxにコントリビュートすることが可能だ。そのオプションの全リストは，Mozillaの発行する数多くのHow Toガイドとともに，Mozilla Developer Networkに公開されている。