Amazon、Cisco、Google、Intel、Microsoft、Mozilla、Netflixといった大手インターネット企業が「Alliance for Open Media (AOMedia)」を設立した。この団体では、モバイルを含む多様なデバイスに適した、UHDおよび商用/非商用コンテンツを含む高品質なビデオフォーマットをサポートする、オープンかつロイヤリティフリーなビデオフォーマットの策定を目指すという。
新しいフォーマットとコーデックは、スクラッチから始めるのではなく、GoogleのVP9、CiscoのThor、Mozillaなどが支持するDaalaといった既存のものをベースにするという。ThorはCiscoによる新しいフォーマットで、8月に発表されたものだ。CiscoはMPEG LAライセンサだが、ロイヤリティフリーのソリューションを求め始めている。彼らにはフリープロダクトがいくつかあり、H.264とH.265のライセンスが非常に高価なためだ。CiscoのVPであるJonathan Rosenberg氏は次のように語っている。
H.265ライセンスのトータルコストは、H.264と比べて1ユニット当たり最大16倍も高価です。H.264には年間のライセンスコストに上限があったのですが、H.265にはそうした上限がないのです。
こうしたライセンス価格は、オープンソースやWebブラウザなどフリーで配布するアプリケーションにおいて、H.265を利用する妨げになります。また、WebExやCisco Sparkといったフリーで使えるバージョンのあるフリーミアムプロダクトにおいても、利用の妨げになります。テレビ会議システムといったハードウェア製品にはまだ良いとしても、H.265は、ハードウェアとソフトウェア全体におけるユニバーサルなビデオコーデックとして提供できるものではありません。そのため、業界には、誰でも使える、高品質な次世代コーデックが必要だと考えています。
いつもと違うのは、Microsoftの参加だ。彼らは最新のブラウザ、EdgeにVP9を追加するための開発にも着手した。また、OGG、Opus、Vorbisといったビデオおよびオーディオフォーマットも評価している。
欠けている注目すべき企業は、MPEG LAライセンサであるAppleだ。そうは言っても、オープンなビデオフォーマットの支持がクリティカルマスに達するよう努めてきたGoogleとMozillaにとって、AOMediaの新たな設立は成功だと言えるだろう。彼らは何年もそうしたフォーマットをプッシュしてきたが、大半のコンテンツがH.264フォーマットのままであったため、その採用は限られていた。今こそ、ロイヤリティベースのフォーマットを捨てて、インターネットのための新しいフリーのフォーマットを生み出すチャンスだ。