Washington Postによれば、AccentureのCEOであるPierre Nanterme氏は、同社の年次の成果レビューとランキングを廃止するつもりのようだ。
同社はこの9月から始まる2016年の会計年度からランキングと年次の評価プロセスを廃止する。より流動的な仕組みを導入し、従業員がマネージャからタイムリーにフィードバックを受けれるようにする。
Nanterme氏によれば、同社は多くの従業員を世界中に抱えており、年次の成果レビューとランキングを廃止するという“巨大な変革”に対して内部で静かに準備を進めてきた。
数ヶ月前、Deloitteもランキングを廃止した新しい制度を試験中であると発表している。
“ランクと解雇”をコーチングと能力開発で置き換えること - 世界的企業が強制的なランキングと堅い評価システム、年次の評価に疑問を持っています。今年は新しい成果マネジメントのモデルがHRの世界を席巻するでしょう。
Menlo CollegeのプレジデントであるRichard A. Moran氏はDeath to Performance Reviewsと題した自身のブログ記事で、成果の査定を廃止することに対して根拠を与えている。
第一の理由はビジネスの都合です。計算してみましょう。Accentureには33万人の従業員がいます。成果レビューに(少なく見積もって)1時間かかり、(レビューを受ける人とレビューをする人)のふたりが関与するとします。また、Accentureの人々の時給100ドルとしましょう。この前提だと年次のコストは(最低でも)、次の公式になります。
333,000(従業員) x 2(人、各セッションの参加者) = 660,000(時間) x 100ドル(時給) = いくらでしょう。
そして第二に、誰も望んでいないことを続ける意味があるのでしょうか。年に一度の苦しい作業で、効果があるかどうかわからないと思われているのです。
CEBのHR部門でエクゼクティブディレクターを務めるBrian Kropp氏は、成果レビューについての自身の考えを“HR: Want to Do Away with Performance Reviews? Think Again”と題したブログ記事で解説している。
成果レビューに対する早まった意思決定をする前のHRチームにアドバイスできることは、レビューをやめることです。最高の成果をあげている組織は議論の中心に成果のスコアを置きません。過去の成果の記録として成果マネジメントを利用するのではなく、将来の成果を改善するために使うのです。
何かの変更をする前に3つ問いかけるのがいいとBrian氏はいう。
- 成果レビューは後ろ向きか。マネージャは、後ろ向きにフィードバックして、成功や失敗を強調するのではなく、従業員が将来より生産的になれるように支援するために過去の成果を使うべきです。
- レビューの間にインプットを提供するのは誰か。マネージャは今までよりも直接的に報告を受け、従業員は今までよりもより密接に同僚と協力して仕事を遂行する必要があります。このような変化を前提にすると、フィードバックは複数のソース(例えば、同僚や顧客など)から受けるべきです。
- フィードバックを定期的にしているか、それとも年に1度か2度か。スケジュールに登録された期間にだけ成果のレビューをしているなら、HRチームは、マネージャが良いことと悪いことをすべて覚えているのではなく、通年のコーチングを提供するよう教えることを検討するべきです。マネージャにも従業員にも価値があるはずです。
CEBのCEOであり議長であるTom Monahan氏は、成果を推し進めるためにスコアにフォーカスするのをやめることを提案している。
こういった企業は、成果レビューを完全に排除してはいませんし、そうすることもないと思います。彼らは自分たちの産業での不効率な面や秘密になっていたものを排除したのです。つまり、スコアやスタックランキングを重視するというやり方です。年に2度のレビューサイクルを重視するのではなく、先進的な企業のマネージャや従業員は目標や期待について定期的に対話します。Adobeのようにこのようなやり方を‘チェックイン’と呼ぼうがほかの呼び方をしようが、重要なのは過去を解体するのではなく、今日をそして未来を強調する方法としてモデル化できるということです。