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プロダクトレーダとは

原文(投稿日:2015/11/17)へのリンク

Aptilo Networksでプロジェクトマネジメントディレクタを務めるTomas Rybing氏が,自身の最新のブログ記事で,プロダクトレーダ(product radar)というコンセプトを発表した。プロダクトレーダとは何か,氏は次のように説明する。

時系列でプロダクトロードマップを示す代わりに,レーダを使ってはどうでしょう?中心に近いものほど,近い将来に製品で利用可能となる可能性が高いのです。逆に離れているものは時間的な隔たりがあり,実装される可能性も低く,場合によっては提供されないかも知れません。

同じレーダを企業が社内目的にも使用すれば,透明性を高めることができる。さらに透明性を向上するため,氏はレーダに矢印を追加した。

矢印の方向は,それが“製品に採用”(中心向き)される方向なのか,“製品の適用範囲外”(周囲線の外)なのか,あるいは“移動しない”(現状のまま)のかを示します。矢印の長さが,移動の速さを表しています。

InfoQでは,プロダクトレーダについてさらに詳しく議論するため,氏に話を聞いた。

InfoQ: プロダクトロードマップにレーダを使うメリットは何ですか?

Tomas: まず第1に,時間的側面を排除できることです。真にアジャイルであるためには,価値を重視しなくてはなりません。継続的に価値を提供することでユーザの信頼を得られるならば,いつ提供できるのかはそれほど重要ではなくなります。通常のプロダクトロードマップでは,項目が時間軸に沿って配置されているため,時間的な要素が多く含まれています。プロダクトレーダの場合,項目は相対的な関係で配置されます。製品に含まれる可能性の高いものほど,プロダクトレーダの中心に近い位置に配置されるのです。採用される可能性の低い項目は離れた位置,あるいは線外に置かれます。そういったものは,最終的には採用されない可能性もあります。

通常のプロダクトロードマップでは,“注目しているが,積極的は対応しない”ものも含めておきたい,と思うかも知れません。それらは採用されるかどうか分からないので,そのことを示すために,遠い将来(未来は予測できないので,可能性が低い,という意味があります)に配置されます。プロダクトレーダであれば,こういったものは範囲外におくことで,“レーダ上”にあることを表現できるのです。

プロダクトレーダには時間が表現されていないので,ユーザが項目の提供時期に対して何らかの期待を持って,それが後に実現されない,といった事態を防ぐことができます。そうであっても,“最初にAとB,その次がC”というように,関心のある項目が提供される相対的な時期を知ることは可能なのです。

InfoQ: いつ,どのような場面で使用できるのでしょう?

Tomas: 最初は企業内部で使用するのがよいでしょう。完全な透明性が必要ならば,各項目がどのように“移動”するかを,矢印を使って表すこともできます。中心に向かっている(実施される可能性が高くなる)のか,それとも離れて行っている(可能性が低くなる)のか。

ユーザがそれでも時間の表記を求めるならば,次のような手段も使えます。

- 円を使って時間を表現する。中央の円が“今年”,その外側が“来年”,というように。

- 円を使って製品のバージョンを表現する。現在V1.0であれば,中央の円がV2.0,その外側がV3.0というように。

InfoQ: 実際にプロダクトレーダを使ってみた経験について教えてください。

Tomas: 最初の記事にも書いていますが,私自身はまだプロダクトレーダを試したことはありません。ですが,記事を発表した後で寄せられたフィードバックは,どれも肯定的なものでした。プロダクトやプロジェクトの管理に関係している人たちからは,“面白いアイデアだ”,“いいアイデアだ”といった言葉をもらっています。私自身,プロダクトレーダは,公開しないでおくにはもったいない位いいアイデアだと思っています!

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