ネットプロモータースコア(NPS)は、顧客のロイヤリティのメトリクスであり、顧客が企業のウェブサイトやサービスを再び使ってくれるかどうかの指標に使われる。2003年にFred Reicheld氏によって導入されたこの指標は、"おすすめしたい度"、LTR(この会社の製品やサービス、イベントをどのくらい友人に薦めたいか)という質問に対する回答をベースに計算される。この回答は0から10までのスコアになっており、これをベースに計算されるのだ。
9か10で答えた顧客は"プロモータ"と呼ばれ、彼らはサービスの評判を友人に伝え、企業を広報してくれる。0から6までの回答者は"中傷者"と呼ばれ、不満を抱えた顧客であり、友人うや同僚にその企業のサービスが利用する価値がないと伝える可能性がある。7か8の回答者は"受動者"と呼ばれ、企業の製品やサービスを好んでいるが、友人に薦めるほどのことはしない。
NPSは中傷者の割合をプロモータの割合から除することで求める。以下のような数式だ。
NPS = (プロモータの割合) - (中傷者の割合)
*プロモータはスコアが9か10の人、中傷者はスコアが0から6の人。
NPSの値は、-100(すべての回答者が中傷者)から+100(すべての回答者がプロモータ)の間になる。
Airbnbは世界中のユニークな施設の検索と予約を実現するコミュニティマーケットプレイスを運営している。同社はNPSを拡張して使うことで顧客のロイヤリティを計測している。顧客が再び予約してくれるか、サービスを友人に薦めてくれるかについて明らかにするためのメトリクスとしてこの方法が効果的であると考えているのだ。
Airbnbのエンジニアリングチームに務めるLisa Qian氏は、同社がどのようにして顧客の旅行の質をデータから把握しているのか書いている。同社によれば、高いNPSスコアの場合、再流入、再予約がより高まる。
また、正確さ、きれいさ、チェックイン、コミュニケーション、場所、価値といった他のレビューカテゴリも使って、その顧客が再予約するかどうかを予測している。入れ子になったロジスティック回帰モデルを比較することで、彼らはレビューのレーティングを評価してゲストが今後12ヶ月以内にAirbnbを使って旅行をするかどうかを予測する。
また、NPSを計測する場合、解答率を追跡するのも重要だ。
顧客の再予約の予測には興味深い統計がある。あるゲストのLTRだけで予約をすると、次の12ヶ月で再予約するかどうかを56%の確度で予測できる。そして、ゲストやホスト、旅行の基本的な情報をそれに加えると、確度は63.5%に改善する。さらに、レビューカテゴリを加えれば、さらに0.1%改善する。
InfoQとQCon Conferencesにて、私たちもNPSを使って、読者がウェブサイトに来てくれるか、カンファレンスに来てくれるかを評価している。編集長のCharles Humbleは次のようにいう。
NPSはもともと、私たちのCEOであり共同創業者であるFloyd Marinescuが支持したもので、QConのブラジルチームによって素早く実施されました。それ以降、製品全体に導入されていったのです。
QConでは、カンファレンス後に参加者に送付する調査の一環としてNPSの質問を行っています。また、InfoQの読者にもQeryzというツールを使って実施しています。42%という確度にはかなり満足しています。参考までに、イギリスで開催したQconでは53%でした。
ふたつのケースでは、NPSは計測した中のひとつの指標にすぎません。しかし、とても便利な指標です。もしNPSが下落したら、調査し対処しなければならない何かがあるという警告になります。異なる製品や地域で私たちがどのくらい認知されているのかを比較するのにもとても便利です。
NPSには批判もある。他のロイヤリティ関連の質問と比較できるものを付け加えないという批判だ。"おすすめ度"の質問が他の顧客ロイヤリティ関係の質問よりもビジネスの成長予測に優れているという科学的根拠はない。また、NPSは予測妥当性の低い尺度を使っている、複数の質問を合わせた指標よりも精度が低い、ロイヤリティの振る舞いを予約することができない、といった批判もある。