アジャイルコンソーシアムは12月1日、ロッテルダムで21世紀型のリーダーシップについてのセミナーを開催した。このセミナーではふたつのプレゼンが行われた。ひとつはアジャイルの世界でのリーダーシップのチャレンジについて。もうひとつは意向に基づくリーダーシップについてだ。これについてはTurn the Ship Aroundの著者であるDavid Marquet氏による意向に基づくリーダーシップについてのキーノートでフォローされている。
この記事は21世紀型のリーダーシップについての連載の最初の記事だ。今回はINGのHendrik Pothof氏とAxis into ManagementのMichael Bres氏のアジャイルの環境でのリーダーシップチャレンジについての話を取り上げる。INGはグローバルなオペレーションモデルに移行中だ。これは、INGが展開しているすべての地域で同じ働き方を実現するためだ。このため、この移行のプロセスに関係のある人を集め、単一のプロセスと全世界でのITの導入を実現するための方法を探り、オペレーションモデルに責任を持つチームを確立しようとした、とPothof氏はいう。
INGはひとつのマネジメントチームでビジネス、IT、オペレーションを担っている。彼らはDevOpチームが守るべきガイドラインを作った。しかし、Pothofによれば、DevOpチームはこのガイドラインを守れなかった。それゆえ、DevOpチームをエンドツーエンドのチームに変えた。彼らをメインのビジネスプロセス上に配置したのだ。結果、グローバルなオペレーションモデルへの移行によって、50もあったガバナンス関連の文書が10になった。
Pothof氏がいうには、INGは会社がよりアジャイルになっていることを示すKPIを見つけようとしている。ビジネスは成長しており、オペレーションのコストは下がっている。
Bres氏は、マネジメントを排除するべきだと示唆するアジャイル関連の書籍があることを指摘する。しかし、氏によれば、そのような考えは正しくない。氏はアジャイル向けのマネジメントアプローチを採用するべきだという。氏はアジャイルの世界で働くマネージャ向けにリーダーシップマニュフェストを発表した。
2015年のDevOpsについてのレポートでは、生成的な文化を作るために責任を共有することについて書いている。ITマネージャは責任を共有しようとしたとき、DevOpsで重要な役割を果たす。自己組織化されたチームを作るのは大変なことだ。多くのアジャイルの実践は、環境を変えるよりも"人を直す"ことに注力する。Bres氏はアジャイルには異なるリーダーシップが必要だという。マネジメントは協力するための効果的な方法を探らなければならない。
Bres氏は自主性や自由な行動、そして、合意に基づいたリーダーシップの見方を提示している。協力するための自然な原則であり、イノベーションと創造性を促進する。
リーダーシップマニュフェストは、マネジメントがするべきこととして以下をあげる。
- 協力的な構造を作り、配置し、維持すること
- 顧客への価値を提供するために関係者が適切な取り決めをするように促すこと
- 関係者が適応的な力を身につけ維持するようにすること
- 同僚が価値の生成と実際の改善を認識するようにすること
Bres氏は、リーダーシップマニュフェストの下には、アジャイルな環境で働くリーダーが身につけるべき8つの原則がある、と指摘している。
INGはこの原則を導入している。彼らは異なる国の支社の間で協力的な構造を定義し、共通理解と合意に基づいた順位付けられた取り決めをするようになった。
Bres氏は協力的な構造の中では、専門化は有効だという。協力的な構造と相互接続された取り決めは、協調とチーム間のチューニングにたいして有効な解決策になる。