AppleとFBIの暗号化論争に対するGoogleの最初のコメントとして,同社CEOのSundar Pichai氏が一連のツィートを通じて,Tim Cook氏に対する限定的な支援を表明した。
@tim_cookのポストは極めて重要。企業に対するハッキングの強要は,ユーザのプライバシを危険にさらすかも知れません。
犯罪やテロから国民を保護する上で,法執行機関や諜報機関が今,重大な課題に直面していることは理解しています。
私たちは,情報の安全を守るためにセキュアな製品を開発すると同時に,有効な法的要請に基づいた法執行機関によるデータアクセスを可能にします。
ただしそれは,ユーザのデバイスやデータのハッキングを可能にするように,企業に対して要求するのとはまったく違います。厄介な先例になるかも知れません。
この問題に対しては,思慮深くオープンな議論が行なわれることを期待しています。
Pichai氏のこのコメントは,元米国政府職員で亡命中のEdward Snowden氏による次の意見に続いて発表されたものだ。
この件は技術的訴訟として,過去10年間で最も重要なものです。@googleの沈黙はいずれかを選択したということですが,公式ではありません。
John Gruber氏は自身の“Daring Fireball”ブログの中で,Pichai氏が“..かも知れない(could)”を連発していることに注意を促した上で,“Pichai氏の返答はぬる過ぎはしないか?”と問うている。
彼は立場を明確にしていません。質問を装っていますが,実際には質問していないのです。議論に加わってApple寄りの意見を持っているようなのは嬉しいのですが,あまり強い意見ではないように思えます。
Cook氏は以前に,モラルの問題としてプライバシを論じたことがある。昨年6月にワシントンで開催されたEPICの”Champion of Freedom”イベントにビデオ参加したCook氏は,参加者に対して次のように述べている。
皆さんの多くがそうであるのと同じように,私たちAppleも,ユーザがプライバシとセキュリティのトレードオフを強いられるべきだという考え方を拒否します。いずれも同じ尺度で提供することは可能であり,そうあるべきです。人は基本的権利としてプライバシを持っていると,私たちは信じています。アメリカの国民が,憲法が,道徳がそれを要求しているのです。
氏はまた,Appleほどセキュリティを重視していないと自身が考えるGoogleやその他に対しても批判的だ。このような状況を考えれば,Pichai氏の返答が完全なCook氏指示に至っていないのも驚くことではない。少なくとも声明は発表したのだ。これとは対照的に,ニューヨークタイムズ紙によれば,MicrosoftやTwitter, Facebook, Amazonなどの代表者はすべてコメントを控えている。
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