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AWSがリレーショナルデータベースのマイグレーションサービスをローンチ

原文(投稿日:2016/03/26)へのリンク

1,000を越えるオンプレミスデータベースがクラウドに移行された短いベータ期間を終えて,AWSがデータベースマイグレーションサービスを正式にリリースした。このオンデマンドクラウドサービスでは,ライブマイグレーションというシナリオがサポートされている。マイグレーション作業の一環としてデータベースプラットフォームの変更を考えるユーザは,無償のスキーマ変換ツールを使ってそれを実行することができる。

Amazonは,昨年秋に開催された年次のre:Inventカンファレンスで,このサービスの発表と同時に,ひとつのAWSリージョンを対象とした限定的なプレビュー提供を開始した。今回,そのDMS(Database Migration Service)が全ユーザに開放されると同時に,8つのグローバルAWSリージョンで利用できるようになった。一般公開を発表したブログ記事では,AWSのチーフエバンジェリストであるJeff Barr氏が,このマネージドサービスの機能を次のように説明している。

AWS DataBase Migration Serviceは,設定された後,AWS上のレプリケーションインスタンスを管理することによって動作します。このインスタンスがソースとなるデータベースからデータをアンロードし,移行先のデータベースにロードします。このワンタイムのマイグレーションの後にレプリケーションが実行されることで,最小限のダウンタイムによるマイグレーションをサポートします。この過程では,データ型変換やデータベースプラットフォーム間のコンバージョン(OracleからAuroraのような)など,マイグレーションに伴う複雑な部分のほとんどをDMSが処理してくれます。さらにレプリケーションやインスタンスの状態監視も実施し,問題があれば通知するとともに,必要な場合には交換用のインスタンスのプロビジョニングも自動的に実施します。

DMSのエンドポイントの一方はAWS内 – EC2仮想マシン上またはRDS(Relational Database Service)内で動作する – にあることが必要だが,もう一方については,アクセス可能な任意のホスト上に配置することができる。レプリケーションインスタンスはこの2つのエンドポイント間に位置して,データのセキュアな転送を処理する。DMSは1回限りのマイグレーションにも,データベース間の定常的なレプリケーションにも利用可能だ。マイグレーションタスクを設定する時に,ユーザは,“既存データの全ロード,全データのロードと以降の変更,あるいは以降の変更に対するレプリケーションのみ”のいずれかを選択する。対象とするリレーショナルデータベースの範囲は広く,同製品間のマイグレーションと別プラットフォームへのマイグレーションがサポートされている。

AWS Database Migration Serviceは,Oracle, SQL Server, PostgreSQL, Amazon Aurora, MySQL, MariaDBのマイグレーションに利用可能です。OracleからOracleへといった同種間のマイグレーションに加えて,OracleからAmazon Aurora, SQL ServerからMySQLというような,異種間のマイグレーションもサポートします。オンプレミスデータベースからAmazon RDSないしAmazon EC2,EC2で稼働するデータベースからRDS,あるいはその逆,さらにはRDSデータベースから別のRDSデータベースへの移行も可能です。

移行元と移行先のデータベースが何であるかに関わらず,DMSの動作に必要なドライバやソフトウェアなどをローカルにインストールする必要はない。データベースエンジンのマイグレーション,そして,オープンなデータベースへの切り替え – この2つを同時に行なっているユーザが多いことに,Amazonは驚きを隠さない

“AWS Database Migration Serviceのプレビュー期間中,何百人ものユーザが1,000件を越える自分たちのオンプレミスデータベースを,Amazon AuroraなどのAmazon RDSエンジン,あるいはAmazon EC2上で動作するデータベースに移行しました。” AWSでリレーショナルデータベースサービスを担当する副社長のHal Berenson氏は,このように述べています。“オンプレミスデータベースをAWSに,あるいはよりオープンなデータベースエンジンに移行する作業への支援を求める声は以前から頂いていましたが,AWS Database Migration Serviceへの反応は,私たちの予想をはるかに上回るものでした。プレビューでは,データベースマイグレーションの3分の1が,AWS Cloudへの移行だけでなく,稼働中のデータベースの切り替えにもAWS Database Migration Serviceを利用しています。&r”dquo;

新たに非商用データベースプラットフォームへ移行するユーザに対しては,AWS Schema Conversion Toolを使用して,移行元のスキーマとストアドプロシージャを適切な形式に変換することが推奨される。具体的には,Microsoft SQL ServerあるいはOracleのソーススキーマを参照して,それをPostgreSQLやAurora,MySQLなどをベースとするAmazon RDSインスタンスで動作する形式に変換することが可能だ。この無償の変換ツールはWindows,OS X,およびLinuxデスクトップ上で動作する。

Amazonは,低価格のデータマイグレーション手段としてDMSを位置付けている。 マイグレーションソフトウェア自体は無料なので,ユーザはレプリケーションインスタンス費のみを負担すればよい。このレプリケーションインスタンスには"スワップ領域,レプリケーションログ,データキャッシュに必要なストレージが含まれており,ほとんどのレプリケーションおよびインバウンドデータ転送は無料”である。レプリケーションインスタンスのホスティングに利用可能なEC2インスタンスタイプには,T2とC4の2つがある。T2は中程度のパフォーマンスとバースト的なCPU使用に対応するもので,Amazonの推奨は,開発やテストのマイグレーション,あるいは定期的なマイグレーション作業での利用である。C4は高性能かつ低レイテンシ向けであり,大規模データベースへの適用が推奨されている。T2インスタンスには50GBの,C4には100GBのネットワーク接続ストレージがそれぞれ付属している。追加ストレージの費用はGB-月あたり0.115ドル(米国)である。DMSは1アカウントに付き,全レプリケーションインスタンスの合計で6TBまでのストレージをサポートする。インバウンドのデータ転送は常に無料,同一AWSアベイラビリティゾーン内のデータベース間の転送も無償だが,アベイラビリティやAWSリージョンを越えた,あるいは外部環境へのデータ転送には,GB単位で費用が発生する。

ソースデータベースにある全テーブルだけでなく,一部のテーブルのみを移行することも可能だ。想像に違わず,Oracle(ソースターゲット),SQL Server(ソースターゲット),PostgreSQL(ソース),MySQL(ソースターゲット)などのデータベースのマイグレーションには,独自機能に対する警告がある。興味深いのは,データソースの暗号化がDMSでは問題ではない点だ。

AWS Database Migration Serviceは,SQLインターフェース層の上でデータベースのエンドポイントに接続します。そのため,Oracle あるいはSQL Serverで透過的なデータ暗号化機能を使用している場合であっても,そのようなソースから復号化されたデータを取得することが可能です。ストレージレベルの暗号化でも同じです。AWS Database Migration Serviceがデータベースソースに対する正しい接続資格を持っていれば,ソースに接続して(複合化された形式の)データをターゲットに転送することが可能です。

企業資産のパブリッククラウド移行は現在も続いているが,一方でプライベートクラウドへの投資も増加している。データマイグレーションの費用と複雑性はパブリッククラウド適用の障害ともなり得るため,AWS等のプロバイダによる,そのようなアクティビティを簡素化するサービスへの投資は今後も続くだろう。

 
 

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