英国OfCom(Office of Communications)は,“IoT(Internet of Things, モノのインターネット)サービスとM2M(Machine-to-Machine)アプリケーションで使用可能”な,3つのVHF(Very High Frequency)無線帯域範囲を承認した。今回の認定は,数ヶ月に及ぶ調査と,利害関係者と関連団体から意見を収集し検討した結果であり,その内容は,“VHF radio spectrum for the Intenet of Things”と題されたOfComの詳細提案書(PDF)にまとめられている。
周波数帯(58-68MHz, 70.5-71.5MHz, 80.0-81.5MHz)は携帯音声通信以外でも,すでに一部のIoTやM2Mアプリケーションが使用している。今回のOfComの声明は,これらの帯域が今後IoTサービスで使用されるべきものだと公式に認めたことになる。さらにOfComは,既存のビジネス無線ライセンス(Business Radio License)を,“既存のアプリケーションのサポートを維持しつつ,新たにIoT/M2Mに対応する”新ライセンスに置き換えることも発表している。
31ページのOfCom声明{PDF}には,次のような内容が含まれている。
- エグゼプティブサマリ: 対処中のニーズ,実行中のプロセス,OfConが到達した結論に関するバックグラウンドを提供する
- イントロダクション: OfComの持つ目的(“英国におけるIoT投資とイノベーションの促進”),それを達成する上での役割を紹介し,ドキュメント上の以降の2セクションについて,そのバックグラウンドを提供する。
- 意見聴取結果の考察: 利害関係者に対して実施した質問内容を提示し,非公開で回答した12件を含む返答に関して議論する。
- 結論と決定: IoTサービスに対するVHF帯域の適合性に関する意見,OfComのライセンス判断,今回の帯域が非IoTユーザに与える潜在的影響に関する議論。
- 国際協調: 現在の無線帯域,とりわけVHS帯に関する国際協調の不十分さと,この問題への対処策のアウトラインに関する議論。
- BRライセンスの技術的条件: OfComの持つ,現行のビジネス無線ライセンスに関する技術的詳細。
- 用語集: 本資料で使用されている略語の解説。
関連団体から寄せられた意見の大部分は,IoTおよびM2MモバイルアプリケーションにVHF周波数を使うことの技術的メリットに関する,疑問や議論から発したものだった。議論のポイントは,VHF通信に必要なアンテナのサイズが大きいことと“アンテナを小さくした場合の効率の低下”,VHF通信に影響する可能性のある電離層かく乱,隣接無線帯域による干渉と,逆にアマチュア無線愛好家への影響の可能性などだ。
IoT用の無線帯域に関する要望への対処しようとしているのは英国だけではない。Stepan Lawson氏のレポートによれば,米国でも“4人の上院議員が,IoTデバイスを接続する通信帯域拡張の必要性について,連邦通信委員会に検討を要求するための法案を提出”している。