米国オースチンで開催されたOpenStack Summitで,CoreOSは,標準的なOpenStackサービスをコンテナにデプロイするフレームワークの‘Stackanetes’をリリースした。アプリケーションのライフサイクル管理機能にKubernetesを使用し,OpenStackインフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS)とコンテナのサイド・バイ・サイド運用を実現する。
Stackanetesでは,CoreOSのKubernetes商用ディストリビューションであるTectonicを使用している。Tectonicは“Google Infrastructure for Everyone Else (GIFEE)”と呼ばれる,インフラストラクチャとプラットフォームを提供するために開発されたものだ。デプロイからアップグレードまでを対象としたシンプルなOpenStackライフサイクル管理を実現し,プライベートデータセンタでのOpenStack IaaSのレジリエントな運用とスケール性を可能にすることを目標に,OpenStackとIntelとの協力の下で開発が続けられている。
InfoQは,CoreOSの製品開発責任者であるWei Lien Dang氏と席を共にして,Stackanetesが採用しているKubernetes上でのOpenStack運用や,Googleスタイルのインフラストラクチャの展開に関して,その動機を詳しく聞くことにした。
InfoQ: InfoQへようこそ! OpenStackをKunernetes上で実行することに関して,その方法を選択した理由と,CoreOSで実施している開発の内容について,簡単に説明して頂けますか?
Dang: 私たちCoreOSは,Googleスタイルのインフラストラクチャの企業導入を支援することに注力しています。過去数年にわたって,必要な数多くのコンポーネントを,オープンソースとして公開してきました。それらはいずれも,それまでは存在しなかったものであり,GIFEE(Google’s Infrastructure For Everyone Else)を実現する上で埋めなくてはならなかった空白部分なのです。CoreOS Linuxやetcdなどのプロジェクトと同じく,Kunernetesへのコントリビューションもその一環です。
OpenStackを取り巻くコミュニティの拡大は,あらゆる環境で運用可能なオープンソースIaaSに対する需要の大きさを証明した形となりました。そのOpenStackの採用において最大の課題のひとつが,デプロイとプラットフォーム自体のライフサイクル管理に関わる煩雑さだったのです。
私たちは先月,OpenStackとKubernetesを使用したVMとコンテナの統合に関して,Inteltとコラボレーションすることを最初に発表しました。続いてオースチンでのOpenStack Summiteで,“Stackanetes”,すなわち,OpenStackをKubernetes上のアプリケーションとしてデプロイし,管理する方法を提案しました。これが先程の空白を埋める第2のステップです。OpenStackをKunernetes上で運用することには,コンテナによるデプロイの一貫性,Kubernetsの堅牢なアプリケーションライフサイクル管理,といったメリットがあります。OpenStackのデプロイと管理が簡単になれば,OpenStackの採用数やその品質の向上だけでなく,プロジェクトの開発作業もさらに加速されることが期待されます。
InfoQ: IaaS,CaaS,PaaSというハイブリッドインフラストラクチャの稼働に着手している企業は,どの位あると思われますか?これらのすべてを管理する上で,OpenStackは最適な抽象化手法なのでしょうか?
Dang: これからは多くの企業が,自らのビジネスニーズを満たす手段として,これらのサービスを立ち上げるようになるだろう,と私たちは予想しています。さまざまな産業分野のさまざまな企業が,Webサービスを提供するインフラストラクチャ戦略のシフトを始めています。Kubernetes,より広くGIFEEは,これらさまざまなサービスの安全性,信頼性,拡張性を管理するために最適なプラットフォームなのです。
InfoQ: OpenStack/Kubernetesのニュースとの関係もあって,‘GIFEE’が話題になることが多くなっています。しかしながら,すべての企業がGoogleではない(あるいはそれを目指していない)という事実を考慮した場合,これは適切なミームなのでしょうか?
Dang: もちろんです。 GIFEEの強さは,安定性と安全性を維持しながら,スケーリングが容易に行なえる点にあります。GIFEEを運用するということは,分散アプリケーションを任意のスケールで安全かつ安定的にデプロイし,管理することが可能になる,ということなのです。
InfoQ: CoreOSとIntelがKubernetesとOpenStackを単一のオープンソースSDI(Software-defined Infrastructure)にまとめ,最終的にはOpenStackのアップストリームにコントリビュートするという事ですが,IntelとOpenStackとの今回のコラボレーションは,どのように始まったのでしょうか?
Dang: Intelとのパートナシップは約1年前,ハードウェアからソフトウェアスタックまで,完全に一貫したインフラストラクチャの提供を目標として始まりました。すべてのレベルでパートナとコラボレーションすることによって,最高のアーキテクチャをユーザに届けることが可能になります。VMとコンテナを超えたクラスタの管理とオーケストレーションに単一のアプローチで対応することによって,デプロイの単純化と統合化が実現し,その目標に対して一歩前進することができるのです。
InfoQ: 開発はオープンに行われるのでしょうか?もしそうなら,読者が参加し,コントリビュートするにはどうすればよいのでしょう?
Dang: ソフトウェアは今後も引き続きオープンです。GitHubでコードをホストして多くの人たちが入手できるようにすると共に,OpenStackとKubernetes両方のコミュニティからのフィードバックも求めていきます。開発への参加を希望する読者は,https://github.com/coreosから問い合わせてください。
OpenStackコミュニティと協力して,“Stackanetes”をOpenStackのアップストリームに組み込むための作業も行なっています。
InfoQ: 今日はInfoQのためにお話を頂いて,ありがとうございました。他に何か,InfoQ読者に伝えておきたいことがありますか?
Dang: CoreOS Festが5月9,10日にベルリンで開催されます。コミュニティに参加して,GIFEEを推進するオープンソースプロジェクトに触れるには最高の機会です。欧州では初となる2回目のCoreOS Festには,オープンソースや分散システム,Linuxコンテナ,セキュリティ,Kubernetesなどの技術に関心を持った人たちが世界中から集まります。InfoQ読者の皆さんには,https://coreos.com/fest/でコード“EssentialEurope”を使用すれば,CoreOS Festのチケットを15%割引で提供しますので,ぜひ参加してください。
Stackanetesに関する詳細な情報は,CoreOSのブログで確認することができる。
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