米上院の商業委員会は,“DIGIT(Developing Innovation and Growing the Internet of Things)法”を全会一致で承認した。この超党派法案では,“IoTの成長促進のための提案を任務とするワーキンググループの設置”を求めている。
この法案は“IoT開発を奨励”し,“IoTの開発と展開の促進を優先的に進める”とともに,その“誤用からの保護に対して責任を持つ”という国家的戦略を求めた,2015年3月の決議を受けたものだ。この決議は上院において,全会一致で可決された。今回の上院商業委員会を通過した新たな法案も,同じように全会一致で承認されるものと期待されている。
IoTを対象とした法律集というよりも,米国政府がIoTに対応する上でのフレームワークという意味を持つこの法案では,
連邦通信委員会に対して,数十億のデバイスによるネットワークのサポートに必要な周波数帯域について報告するように求めています。IoT関連の施策に関するアドバイスを議会に対して行なうため,官民の各部門の代表者で構成されるワーキンググループも招集される予定です。
IoTに関する周波数帯域のニーズは,政府としても関心の高い部分である。 例えば,英国情報通信庁(Ofcom)は先頃,IoT通信に対して新たなVHF無線帯域の割り当てを行なった。米国でも今年4月,民間のモバイルブロードバンドサービスなどの新たなユーザに対して,3550MHzから3700MHzの周波数を開放した。これまでは軍事利用のために予約されていた帯域である。
米国IoTコミュニティの法案に対する最初の反応は肯定的なものだ。例えばAlex Perala氏は,MobileIDWorldに次のように書いている。
米国政府当局がこれまで,IoTの興隆を認知するのに苦労してきたことを思えば,これは明るい兆候です。一部の政府関係者はIoTに機会とリスクの両方を感じながら,問題の先送りを続けてきました。しかし連邦取引委員会などのグループは,この漠然とした概念を規制する枠組みを確立すべく,困難な問題に取り組んでいるのです。
HealthITAnalyticsの記事では,Jacqueline Belliveau氏が次のように記している。“DIGIT法の下でFCCと連邦政府ワーキンググループは,医療用のウェラブルないしモバイルアプリケーションによるIoTテクノロジのイノベーションを拡大すべく,ガイドラインの作成に取り組んでいると同時に,健康関連のIoTテクノロジのさらなる開発を奨励しています。DIGIT法はさらに,医療業界がIoTに進出する上でのセキュリティフレームワーク開発を支援する,という意味でも有用です。”
SIA(セキュリティ産業協会)は,今回の法案が“ワーキンググループの率直な報告書によって,広い範囲のIoT問題に注目を集めることのできた”点を公式に賞賛している。“特に,IoTテクノロジの展開を成功させる上での潜在的障害となり得るという意味において,プライバシとセキュリティの確保が極めて重要です。”
この記事を評価
- 編集者評
- 編集長対応