組織のマルチタスキングの経済的影響

Agile For Allの設立者でありパートナーで、認定スクラムトレーナーでもあるBob Hartman氏が最近、ピーター・ドラッカーの視点はスクラムの価値にとって不可欠だという記事を書いている。この記事で氏はマルチタスクがどのように組織の経済に悪い影響を与えているかを説明し、ピーター・ドラッカーの次の言葉を引用している。

経済的成果にとって集中は鍵です。しかし、現代において、効率さの原則の中で集中の原則ほど侵されているものはありません。

Bob氏はスクラムでの“集中”の価値について強調する。

組織のどのようなレベルであれ、顧客と働き始めるときになんらかの集中が見られることは珍しいです。マルチタスキングが横行しているだけでなく、うまくマルチタスクをこなすことは優れた振る舞いだと思われています。ほとんどのマネージャや経営幹部はマルチタスキングの巨大な代償とマルチタスクでほんとうに大きな生産性が失われることを理解していません。

氏は上のピーター・ドラッカーの引用の中の“集中”という言葉は“マルチタスクキングをしない”ということと同義だと私的している。ドラッカーはマルチタスクをしないことは“経済的成果にとって鍵だ”と言っているのだ。言い換えれば、経済的成果を生み出すという観点で正しいことをしようとした場合、ひとつのことに集中する必要がある。ということは、集中することに集中できれば、優れた成果を生み出すことができる。

一般的に人々はマルチタスクの最悪の影響を無視しているが、下のグラフの通り、現実には大きな代償を支払っている。このグラフによれば、マルチタスクにタスクが積まれていけば、ひとつのタスクごとに20%のペナルティが課される。

不動産投資家のCarol Deeb氏は従業員が不要な邪魔によって定期的に中断されることでビジネスと経済がいかに苦しんでいるかを説明している。氏はBad Effects of Multitaskingと題した記事で、New York Timesの記事を引用している。この記事はコンサルティング会社Basexの2007年の調査についての記事だ。この調査では従業員のタスクの実行と電子機器の利用を合わせて調査し、次の結論を得た。

Basexによれば、ビジネスは中断によるパフォーマンスの創造性の欠如から年間6500億ドルを失っています。従業員が企業の経済的ゴール達成に貢献するタスク実行に対する集中や解決策発見に対する集中を失うとき、利益は失われるのです。

フローベースの計画と実行のソリューションを提供するRealizationはThe Effects of Multitasking on Organizationsと題したレポートを公開している。このレポートでは大きな企業では注目されないマルチタスキングの問題によって、世界経済全体で、4500億ドルが失われていると指摘している。

Bob氏は失われている生産性を金額にしてマネジメントに定時し、彼らの注目を集め、マルチタスキングを避けるように仕向けるべきだと言う。

Realization社のレポートはフローベースプロジェクトマネジメントが組織の生産性改善のソリューションであり、生産性消失の最大の原因と組織のマルチタスキングに対抗すると考えている。フローベースプロジェクトマネジメントは3つのステップが含まれている。

1. オープンになっているプロジェクトの数、あるいは、作業の流れを25%から50%にする。
2. タスクレベルの優先順位付けに明確なルールを確立する。
3. 適切な準備なしでプロジェクトを始めない。