RethinkDBが同オープンソースデータベースのバージョン2.3をリリースし,JavaScriptドライバとネットワーク暗号化をアップデートした。
ブログ記事“RethinkDB 2.3: user accounts, network encryption, Windows support”の中でデベロッパエバンジェリストのRyan Paul氏は今回のアップデート -- Fantasiaと名付けられている -- について,TLSサポートを内蔵することによって“クライアントドライバプロトコル,クラスタ内のデータベース間通信の両方で,通信データの暗号化”が可能になったと述べている。
さらにV2.3では,“RethinkDBのWebベース管理ユーザインターフェースもHTTPS URLでアクセス可能になって”暗号化されるため,これまでのRethinkDBデプロイメントのように,データベースサーバと近接する同一ネットワーク内にアプリケーションサーバを立ち上げる必要もなくなった。
分散データベースRethinkDBのFantasiaリリースは,JavaScriptドライバに新たなcursor.eachAsync
関数の亜種を備えた。これまでは開発者がcursor.close()を通じてカーソルをクローズしても,それを通知するデータベースからのコールバックは存在しなかったのだ。
JavaScriptドライバではさらに,cursor.eachAsync
に新オプションとしてconcurrency
の追加,r.min(a,b)
およびr.max
実装のアップデート,といった変更が行われている。後者では,r.expr([a, b]).min()
と書く代わりに,r.min([a, b])
およびr.max([a, b])
という記述が可能になった。
InfoQはこの2月,RethinkDBが,LinuxおよびOS X版と同等の機能を備えた同データベースのWindows移植版をローンチしたと発表している。Fantasiaリリースでは,先日導入された このWindows版が正式にベータ版になった。氏はこれについて,“Windows PC上でRethinkDBアプリケーション開発を始めたい開発者にとって,すばらしい選択肢”であるとしながらも,信頼性の面から,まだ実データや運用環境では使用しないように求めている。
RethinkDB 2.3で改善されたのが,同データベースのクエリ言語であるReQLだ。 特筆すべきなのはfold
と呼ばれる新コマンドで,エンジニアリングディレクタのDaniel Mewes氏によると,“ストリーム上で効率的なステートフル変換の実装を可能にする”ものだと言う。Paul氏はさらに詳しく,“順序付けられたストリーム上でのreduce
風オペレーションに加えて,現在のアキュムレータの状態に基づいたストリーム値のemitをオプションでサポート”すると説明している。
HackerNewの2.3リリースに関するディスカッションでは,コミュニティの大半が概ね肯定的である。
ユーザasher_は次のようにコメントしている。
すばらしいリリース,すばらしい成果をありがとう!
foldコマンドを実装したことで,私はRethinkDBをイベントソースシステムとして考えるようになりました。現在,この目的で使用している人はいるのでしょうか?またfoldは,change feedでも使用できるのでしょうか?もしそうならば,非常に強力なイベントソースシステムだと思います。
リプライではユーザv3ss0nが次のように述べている。
そうです。これは私たちのプロトタイプhttp://phwa.beで,リアルタイムのマルチメディアチャットルームです。マークダウンをフルサポートしていますが,これまでとは根本的に異なるアプローチを採用しています。eventsourceとrethinkdbというchange feedを使用していますが,これをfoldコマンド化しようと考えているのです。
リアルタイムのモバイルマーケットプレースも開発中で,これが私たちの主要なスタートアップ製品になる予定です。
RethinkDBはオープンソースとしてゼロから開発された, スケーラブルなJSONデータベースである。RethinkDBでは変更をポーリングする代わりに,開発者がデータベースに対して更新されたクエリ結果をリアルタイムで継続的にプッシュするように指示する。
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