Googleが間もなく,PlayをChrome OSでも利用可能にする。Android用のアプリケーションとメディアが,Chromebookユーザにも使えるようになる。
Googleは2010年,Chromebookの最初のプロトタイプを発表した。その翌年には,製品としてChromebookが市場に登場している。それから5年が経過し,Chromebookは市場で一定のシェアを確保するに至った。特に米国の学校では,“その他すべてのデバイスの合計よりもChromebookが多く購入されて”おり,Googleの引用するIDC調査によれば,2016年第1四半期には“ChromebookがMacを抜いた”。これまでChromebookの普及が進まなかった理由として,ネイティブなWindowsアプリケーションが実行できないことと,オフラインで実行可能なアプリケーションがサポートされていないことがあった。ただし企業には,Citrixのデスクトップ仮想化ソリューションであるReceiver for Chromeによって,従来のWindowsアプリケーションを実行する手段があったことは言及すべきだろう。
アプリケーション不足というギャップをカバーするため,Googleは,Google Playストアとその150万を越えるアプリケーションをChrome OSで利用可能にすることを決定し,先日のI/O 2016で,M53が提供される9月には,特定のChromebook, Chromebox, ChromebaseでGoogle Playアクセスが可能になると発表した。これによってChromebookのユーザは,WordやExcel, PowerPoint, Outlook, あるいはSkypeなど,Android用に開発されたMicrosoftアプリが利用できるようになる。これらのアプリケーションは,Google Play Musicのようにオフラインで実行することも可能だ。
ただし,すべてのChromebookが対象ではない。Androidアプリの実行が保証されるデバイスの一覧はこちらにある。Google Playが全Chromebookに解放される6月時点でアプリを実行可能なのは,Acer Chrome book R11とAsus Chromebook Flip, Chromebook Pixel(2015)だ。しかし,デバイスの機能や搭載するセンサの制限により,すべてのアプリケーションがChromebookで動作する訳ではない。GPSセンサのデータはWi-Fiネットワーク経由で収集するロケーションで代用可能だが,電話接続が必要なアプリケーションについては,Chromebookには通常その機能が備わっていないため動作しない。
Googleは開発者に対して,アプリケーションをChromebookで動作可能にするように奨励している。そのためには,以下のような問題への対処が必要だ。
- マニフェストでタッチスクリーンとセンサを“not required”に設定する必要がある。
- カスタムIME,ホームスクリーン,ランチャ,ウィジェットはサポートされない。
- 提供されているマルチウィンドウサポートを使用すること。Android on Chrome OSでは,一度に3つのウィンドウをポートレート,ランドスケープ,最大化のいずれかのモードで実行することができる。
- キーボード,マウス,トラックパッドを使用するように,アプリケーションを更新すること。
- ユーザがChromebookを他のものに置き換えた場合,簡単に復元可能なように,外部にデータをバックアップすること。
- Chromebookがアップデートされて対応した時に対応できるように,Android N対応を実施しておくこと。
特定のアプリケーションをプッシュや削除,ホワイトリストおよびブラックリスト設定などによって,組織内のChromebook上のAndroidアプリを一元管理することが可能になる。部門単位などによる選択的な管理も可能だ。
Chrome OS担当プロダクトマネジメントディレクタのKan Liu氏によると,Googleはこの機能に関して,Chrome OS上のコンテナでAndroidを実行する方法を選択している。AndroidはChrome OSのスタックを経由し,ごく少ないパフォーマンスペナルティでハードウェアにアクセスする。アプリケーションとしては,Chromebookが一般的な携帯電話よりも強力なハードウェアを保持していることを念頭に置く必要がある。
Chrome OS上でAndroidアプリケーションを正しく動作させるための詳しい情報としては,Google I/O 2016のセッション “Bring Your Android App to Chrome OS ” を推奨する。
この記事を評価
- 編集者評
- 編集長対応