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OracleがJava.netとKenai.com Forgeを閉鎖へ

原文(投稿日:2016/05/11)へのリンク

OracleはKenai.comとJava.net forgeを,1年後を目処に閉鎖すると発表した。プロジェクト管理者に対しては,他の場所でプロジェクトを継続できるように,コードやバグトラック情報,Eメール,wikiページ,フォーラムのコンテントなどのプロジェクトデータをすべてダウンロードしておくことを勧めている。CodehausGoogle Codeの同様な閉鎖通告に続く今回の動きは,マーケットにおける一連の決定と方向を同じくするものだ。

Kenaiの閉鎖自体は2015年9月にすでに発表されていたので,特に驚くことではないが,当時の発表では,同サイトのプロジェクトをJava.net foreに移行して,2つのプラットフォームを効率的に統合することが示されていた。今回の発表はそれよりも影響範囲が広く,プロジェクト管理者が期限内に適切な対応を行なわなければ,多数のプロジェクトが使用不能になる可能性がある。

今回の閉鎖が唯一のケースではないという事実は,GitHubが同種のサービスに比較して突出した人気を持つ理由の証明にもなる。Project KenaiとGitHubはいずれも2008年に開始された。GitHubが数ヶ月先行してはいるが,先発の優位性を正当化するほどの差ではない。その一方で,Kenaiの提供する機能はGitHubに比べてはるかに大きい。従って今回のような結果になったことには,他に何か理由があるはずだ。

GitHubと,Project KenaiやJava.netなど他のプラットフォームとの最も明確な違いは,その運用目的にある。後者がオープンソースコミュニティのサポートを目指しているのに対して,GitHubは完全な商用目的でスタートしているのだ。サービスの開始以来,GitHubは,その拡張をサポートする目的で3億5千万ドルの資金を調達している(Andreesen Horowizから1億ドルSequoia Capital経由で2億5千万ドル)。対照的にProject Kenaiは,ローンチから8年を経た現在もベータ版のままだ。

最も重要な差別化要因は,しかしながら,些細なことかも知れない。Sunが開発し,NetBeansに強く結び付いたProject Kenaiは,主にJava開発者を対象とするプラットフォームだった。一方のGitHubは,RubyとErlangで開発され,当初は主にRuby開発者を対象としていた。Kenai.comにホストされているプロジェクトの使用言語に関する時間的推移について,筆者は公式な記録を持ち合わせていないが,最もポピュラーな言語がJavaであったことは想像に難くない。対象的に開始から5年間のGitHubでは,Rubyが最もポピュラーな言語だった。JavaとRubyの技術的な差異が,人気度の違いに何らかの役割を果たした可能性がある。

オープンソースプロジェクトにはすべて,2種類のタイプのユーザがある。ソースコードにアクセスして,それを読んだり修正したりすることを望むユーザと,単純に利用な配布用形式での提供を希望するユーザだ。Javaでライブラリを利用する場合,MavenやGradleといったパッケージマネージャを介して,コンパイル済みのjarファイルをMaven Centralのようなアーティファクトリポジトリからダウンロードする方法が一般的だ。これはつまり,Javaで記述されたオープンソースプロジェクトを手軽に利用するためには,ソースコードへのアクセスだけでは不十分だ,ということになる。すなわちKenai.comは,オープンソースプロジェクトを完全に公開するためには,それだけでは十分ではないのだ。

一方でRubyには,事実上の標準パッケージマネージャであるBundlerがある。JVMを含む多数のターゲットアーキテクチャにコンパイルすることは可能だが,Rubyの主な利用はインタプリタ言語としてである。従ってコンパイル済みのオブジェクトを用意する必要はない。このためBundlerでは,ソースコードを保管しているリポジトリから,Rubyプロジェクトを直接利用することが可能である。これはつまりGitHubが,ホストしているRubyプロジェクトのソースコードリポジトリとしても,利用のための配布メカニズムとしても機能するという意味だ。

Rubyで記述されたオープンソースプロジェクトの配布用に第2のシステムを必要としない点で,これらのプロジェクトで容易に利用できることから,Rubyプロジェクトの共有のために多くの人々が利用するようになったと考えられる。この組み合わせ効果は,Rubyの人気の初期成長にも大きく関与した可能性が高い。当初5年間において,RubyがGitHubで最もポピュラーな言語であったことから,言語の人気がプラットフォームの普及に大きく貢献したものと想像される。このことは,パブリックリポジトリがプラットフォームとして成功するためには,共有するコードのライフサイクル全体に注目する必要があるということを示している。

代替手段が利用可能であることを考えれば,Kenai.comやJava.net forgeの閉鎖は,Javaコミュニティとって必ずしも悪いニュースではない。Junit 5などの新プロジェクトはGitHubで問題なく公開されている上に,GitHubやBitbucketなど他のプラットフォームに既存のJSRコンテンツを移行する検討についても,話し合いが始まっている。

 
 

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