VMwareは,開発者を対象としたLiota(“Litte IoT Agent”)フレームワークをリリースした。IoTデバイスと,その入力データストリームを解析してリモートデバイスをコントロールするクラウドアプリケーションとのゲートウェイ通信をセキュアに統合するアプリケーションを,容易に開発できるようにするためのフレームワークである。今回のリリースは,VMwareのCIOであるBask Iyer氏によって,ブログ記事として発表されたものだ。
オープンソースであるだけでなく,Liotaはベンダニュートラルでもある。Iyer氏はLiotaについて,“モジュールを経由することで,データセンタコンポーネントや通信手段を選ばずに,すべてのIoTゲートウェイとのインタラクションを可能にする”,と説明している。またTech Republicの記事では,Corner Forrest氏が,“ベンダを選ぶことなく,他のIoTシステムと共同動作が可能なLiotaは,IoT市場の切迫した問題の解決手段として一歩先を行くと言えるでしょう”,と書いている。
Liotaは現在,VMware社内に加えて,BayshoreやNeteorks, Dell, V5システムなど,ソフトウェアの早期アクセス版を受け取ったいくつかの企業によって使用されている。Bayshoreの創設者でチーフサイエンティストのFrancis Cianfrocca氏は,さまざまなゲートウェイやプロトコルに対応可能なアプリケーション開発の困難さについて言及した上で,“Liotaを採用することで,アプリケーションの複数バージョンを用意する必要がなくなり,イノベーションに集中することができるようになります”,と述べている。
Liota SDKはPythonで記述されているので,Pythonをサポートする任意のゲートウェイプラットフォームにデプロイ可能だ。GitHubからダウンロードしたLiotaのディレクトリには,BSDライセンスの情報,README,要件,Pythonのsetup.py
ファイル,config
とexample
のサブディレクトリ,Loitaのソースが含まれている。
まずはliota-master
サブディレクトリのREADME.me
ファイルを読んでLiotaプラットフォームの要点を理解し,自分自身の状況に対処するにはどうすればよいかを学ぶとよいだろう。それによると,Liotaを使用するにはPython 2.7をインストールしておく必要がある。さらにドキュメントには,Liotaがサポートするさまざまな層が紹介されている。
- Board層: Liotaのベース層としてIoTゲートウェイハードウェアの抽象化を提供する。
- Gateway層: Board層のサブモジュールで,システムボードとオペレーティングシステムを抽象化する。
- Things層: この層(‘Internet-of-Things’の‘Things’の意味)は,例えばUSB温度センサのような,ゲートウェイに接続されるデバイスを表現するLiotaのオブジェクトの生成を可能にする。
- Transformer層: Liotaのメトリック表現を生成するための基本構造を定義する。ここでの“メトリック”とは,数値のストリームのことだ。
- Transport層: ゲートウェイオブジェクトとDCC(Data Center Component)のネットワーク接続を抽象化する。
- DCC層: DCCのサポートを処理する。DCCはオンプレミス,パブリッククラウド,プライベートクラウドのいずれにもホスト可能である。
example
ディレクトリには,オープンソースののGraphite APIを利用したLiotaのサンプルアプリケーションがある。
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