AlphabetのDeepMind部門はデータセンタの制御システムの管理をアタリ社のゲームを学習させたプログラムと同様のAIプログラムに担当させたところ、Googleのデータセンタ全体の電力使用効率(PUE)が15パーセント改善されたと報告した。DeepMind及びデータセンタのエンジニアは冷却システムの改善によりPUEが継続して40パーセントに達し、プログラムの使用によりデータセンタの設置以来最も低い値となったことを報告した。
Demis Hassabis氏は、これは単なる経費削減ではなく、データセンタの環境への影響をも低減したと記した。Googleは報告によると2014年に4,402,836 MWhの電力を使用しており、これはGoogle GreenによるとUSの一般家庭の366,903世帯分にあたる。Googleはユーザにサービスを提供するための推定カーボンフットプリントを以下のように示している。
1日に25回検索を行い、YouTubeを60分閲覧し、Gmailアカウントを保有しGoogleの他のサービスも利用するユーザに対して、Googleはサービスを提供するために1日あたり8グラムの二酸化炭素を排出しています。言い換えると、Googleがユーザに対して一ヶ月サービスを提供するということは、自動車を1マイル走らせることと同じようなものです。
最初の報告によると、節約額は毎年100万ドル単位となる模様だ。正確でない可能性があるが、GoogleはDeepMindの獲得に400万ポンド、600万ドル以上を支払ったと思われる。また、記事によるとユーザあたりのデータセンタのカーボンフットプリントも削減している。プログラムが効率の向上を獲得した方法について、DeepMindの研究員であるRich Evans氏とGoogleのデータセンタエンジニアであるJim Gao氏はこのように記載している。
これは、データセンタ内に設置されている、温度・電力・ポンプ・設定値といったの速度数千のセンサから既に収集された履歴データを集計し、これらを深層ニューラルネットワークのアンサンブルを訓練するために使用することで得られたものです。そして、ニューラルネットワークは将来の平均PUE、つまり建物全体のエネルギー消費とITエネルギー消費の比で定義される値に対して訓練されました。それから私たちはさらに二つの深層ニューラルネットワークのアンサンブルをデータセンタの一時間後までの将来の温度と圧力データを予測するために訓練しました。これらの予測の目的はPUEモデルから推奨される行動をシミュレートすることであり、操作を行う上での制約を超過していないことを保証するためです。
気候や天気のような個々のデータセンタの特性、各センタ毎特有の構造、絶えず行われる異なるシステムとの相互作用がPUEを改善するための統一指標の作成を阻んでいた。深層学習、畳み込みニューラルネットワークのアプローチでは単一の計算式は必要ない。なぜならプログラムはセンサから投入された入力とリファレンスとなる理想的な出力結果をもとにゲームをするように学習することができるからである。彼らはプログラムが実行された場合とされない場合でPUEがどう影響するかをデモした。Hassabis氏はデータセンタの計測データに抜けがある箇所を把握しており、さらに効率を上げるために追加のセンサを配置することになるだろうと述べた。
DeepMindによると、同様の技術が潜在的には発電所の変換効率の改善、半導体の製造工程や水使用量の削減、もしくは生産設備のスループット向上への寄与を行うために使用できる可能性がある。
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