成功している組織を研究することで着想を得て、自分の組織を改善するためのアイディアが見つかることがある。Bromfordでディレクターを務めるHelena Moore氏はSpark the Change London 2016で成功している組織から学んだアイディアと実践を導入した経験について語った。Netflix、Zappos、Virginなど優れたリーダーシップと文化を持つ組織のケーススタディを読み、Timpsonのような組織を訪問したことは、氏にとって、何が組織に成功をもたらすのかを理解し、そして、自分の組織にその成功の素を導入する方法を見つけるための助けになった。
氏によれば、実施することではなく実施の方法が違いを産む。将来に備えて、丹念に材料を調べ、何が自分の組織に効くのかを特定することだ。氏は採用や新人研修、顧客を巻き込むこと、リーダーシップ、ソーシャルメディアの使い方、価値の確立、人材開発について、自身の例を語った。
InfoQは氏にインタビューをして詳細に話を聞いた。
InfoQ: ZapposやNetflix、Virginといった企業のアイディアを自分の会社に導入するためにあなたが使った "トリック"はどのようなものでしょうか。
Helena Moore: "トリック"という表現は正しくないかもしれません。何かを起こすには魔法の杖が必要だと感じるときもあるということには同意しますが。良い質問だと思います。たしかにアイディアは脳にとって良い食べ物ですが、アイディアの価値を利用して違いを生み出すことは魔法みたいなものかもしれません。私の"トリック"とは、下のようなものになるでしょう。
- 好奇心を持つこと - 大げさな言葉なのはわかっていますが、好奇心は致命的に重要です。あなたが働いている領域や関連領域でただ素晴らしいアイディアを探すだけではだめです。例えば、私たちのソーシャルメディアを通じた顧客とのつながりは住宅領域ではなく、Innocent Drinksのような企業から着想を得たものです。
- 判断を保留する - "素晴らしいけど、ここでは通用しないよ"とすぐに言われることほどイライラすることはありません。馬鹿げたことに思えることも、判断を保留し、育てる時間とスペースを与えることで元の姿とか違うものに進化し、本当に価値を付け加えるものになる場合があります。私たちのオンライン新人研修モジュールであるNew.Beはainsbury’sからArsenal Football Clubまで幅広い組織の影響を受けていますが、そのどの組織のコピーでもありません。そのままでは私たちの会社に合わなかったのです。また、ソーシャルメディア以前ので電話での苦情受付はVirgin Mobileから着想を得ました。
- 貢献できるようにする - 得るだけではだめです。他の人に価値を届けましょう。ネットワーキングをしたり、フォーラムに参加したり、訪れた人を迎えて、ただ時間を潰したりすることは、投資する価値があることです。見返りはすぐには来ないかもしれません。また、あなたから利益を受けた人から直接、返しが来るとは限りません。しかし、いつかは回収できます。私は数年前、Culturevistと呼ばれる組織に参加しました。この組織は組織の文化を改善することに興味があるたくさんの人が参加していました。当時、Culturevistは自由に参加できました。私はStarbucks、Paperchase、Innocent Drinks、Yammerなどの人と話す機会を得ました。ホロクラシー(Zapposで導入されている今や有名な)について始めて聞いたのもCulturevistでした。ホロクラシーをそのまま導入してはいませんが、組織構造をフラットにすることについて啓発を受けました。
InfoQ: Bromfordで導入したアイディアを教えてください。
Helena Moore: 上でいくつか言及しました。振り返るとひとつひとつは小さいですが、合計するとインパクトを持ちます。I’ve mentioned a few above, and when I reflect on these they seem individually small but it’s the sum total that has impact, so to add to the list…
VirginやGoreといった企業が導入していた規則にとらわれない就業についての方法に先立って、2002年、私たちは信頼をベースにした柔軟な働き方を導入することに決めました。時間をカウントしたり、スプレッドシートや固いやり方は私たちのためにならないと判断したのです。そして、今もそのままです。マネージャと共に柔軟な働き方をしています。
もうひとつ過去から続いているのはLynxから得たアイディアです。彼らは映画マトリックスで主人公のネオが赤い薬と青い薬を差し出されるシーンに言及しました。赤い薬はネオに現実を経験させます。私たちはやるべき通りにできていないとき、現実を直視するために"赤い薬を取れ"と言うのが一般的になっています。私たちが"イギリスとアイルランドで毎日、800万人が使っている"男性向け化粧品ブランドであるLynxと同じようなことをしていると考えた人がいたでしょうか。
InfoQ: Bromfordが、選ばれる企業になる、という決断をしたのはなぜでしょうか。
Helena Moore: どこかで惨めに働きたい人などいるのでしょうか。これ自体が理由です。また、私たちは組織の下層がしっかりと思い入れを持っている組織の力をずっと信じていました。そのような組織の背後には具体的な示唆があるのです。2000年代の始めから、私たちは優れた組織を作る仕組みを調べ始めました。私たちが影響を受けたのはTimpsonでした。靴の修理で有名な会社です。当時(今もですが)、同社のエンゲージメントは例外的に素晴らしいものでした。私たちは同社を訪問し、サービスの前線に立つ従業員が顧客に対して正しいことをできるように、その地域のサービス提供に真のコントロールを持てるように支えているのを理解しました。また、First Direct Bankの方法にも好意を抱きました。電話でのバンキングサービスから出発した彼らは、同業者と同じサービスを提供している彼らの成長の秘密が、対顧客とのコミュニケーションにある、と明確に理解していました。彼らは顧客に合った素晴らしい会話をするように支援されていたのです。彼らは力を与えていたのです。と素晴らしい会話をすることが推奨されることでやる気が生まれたのです。ユーモアや共感、おしゃべりを加えることで銀行が人間になったのです。とても成功しました。
InfoQ: どのようにして新入社員が迎えられていると感じるようにするのでしょうか。新人はどのように歓迎を感じるのですか。
Helena Moore: 退職するときの騒ぎを逆にした感じです。退職のときはカードや花束、贈り物、お酒を飲んだりすることもあります。私たちはRackspace Hostingが新人を歓迎するやり方が気に入って、自分たちの方法を導入しようと決めました。私たちは、単に、チームに何か新人歓迎をするように頼みます。チームの朝食会かもしれませんし、ヘリウムバルーンやたくさんの歓迎メッセージかもしれません。いずれにしろ、新しい機会が生まれることは間違いなく歓迎するべきことです。私たちは、このような形式的ではない方法と、オンラインの新人研修プラットフォームNew.Beを持っています。このプラットフォームにはたくさんの情報があります。私のお気に入りは"Mr Benny Fitz's sweet shop"で、ここでは気に入った福利厚生を選んでバスケットに入れチェックアウトできるのです。また、CEOのPhilippaも新人全員と会います。彼女は研修の最中ずっと、Bigger Pictureというセッションを開催しています。
InfoQ: 採用でも幾つかのアイディアを試していますね。どれがうまくいき、どれが失敗しましたか。
Helena Moore: 2000年代の前半、私たちは態度を評価するために評価センターを利用し始めました。ASDAの採用方法が良さそうだと考え、似たようなものを作ったのです。私たちはこれを"箱の中の採用"と呼びました。箱の中のボードゲームのような姿だったからです。素晴らしい成果をあげました。特にフロントラインの役割や管理職の採用においてです。優れた態度を持つ人々を引き入れられるようになりました。その後、いくつかの役割ではうまくいかなくなりました。ひとつのやり方ではすべてを賄えないことを理解しました。同僚からもネガティブな反応を受け取りました。私たちは、技術的能力のテストと態度の評価を合わせるように採用プロセスを再設計し、現実の状況を付け加えました。例えば、ガスのエンジニアの場合、本当の家で本当のボイラーの修理をさせるます。そして、同時に候補者がどのように顧客とやりとりをして仕事を完了させるかを評価します。
InfoQ: Bromfordでは顧客と繋がるためにどのようなことをしていますか。
Helena Moore: ソーシャルメディア以前の時代では、私たちは"苦情受付電話窓口"を置いていました。Virgin Mobileから着想を得ました。その感情の表明によって顧客は紙に何かを書くことなく、いつでも不快なことがあったということを簡単に素早く私たちに知らせることができます。驚くべきフィードバックや"興味深い"メッセージを受け取ることができました。今はもちろん、ソーシャルメディアが取って代わっています。Innocent、O2、John Lewisといった企業から着想を得て、コミュニケーションに本当の人間的要素を追加しようと挑戦しています。特に顧客が不満を持ったときは、私たちのサービスを調べてもらうようにお願いすることもあります。このようなCustomer Service Investigators - 私たちのCIAです - は驚くべき結果をもたらしました。最近では顧客との関係を見直しました。コーチングの能力を伸ばして、顧客の近くで働き、顧客のポテンシャルを開き、彼らの望みを実現してもらうためです。
InfoQ: 組織の目的、ビジョン、ミッションを活性化させるためにやるべきことについてアドバイスをお願いします。
Helena Moore: 私たちにはビジョンもミッションもバリューセットもありません。シンプルなBromford DNAがあるだけです。それは、良き人であれ、勇敢であれ、違いを持て、商人であれ、というものです。多くの同僚がビションやミッション、バリューを忘れ、あるいは、混ぜてしまい、または、覚えているのにその意味についてじっくり考えず、冷笑的に嫌味に言及することさえあります。ひとつのDNAを持ち、従業員がベストを尽くすように啓発する強力な社会的目的を持つことが私たちにとって良い方法なのです。私たちはYammerを使って組織の会話を促進させています。多くの同僚がハッシュタグをつけて物語を共有しています。
Spark the Change London 2016には持続的で完全な変革を作り出すためにどのように協力するかについて探るリーダーたちが集まり、変化を作るためのスキルの開発や障害の取り除き方についての実践的な支援を提供するのを目的としている。InfoQはセッションを録画し、記事や要約、インタビュー形式でこのカンファレンスを取り上げる。
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