JetBrainsは,最近のJavaScriptを取り巻く急激な変化をキャッチアップすべく,同社Web Storm JavaScript IDEの今年2回目となるアップデートをリリースした。
リリースを発表するブログ記事の中で,今回のリリースの主要な機能としてEkaterina Prigara氏が強調しているのは,Typescript 2.0,Reactサポートの改善,Angular CLIの統合などだ。
TypeScript 2.0 Betaはリリースされたばかりだが,新たなエディタでは早速それを活用できるようになる。
React開発者向けにWebStorm 2016.2では,コンポーネントでの開発時に必要なPropTypesが自動的に挿入されるようになった。TypeScript開発者は,少し前からVisual Studio Codeで同じような機能が利用できるようになったが,WebStormの機能は通常のJavaScriptでも動作する点が異なる。David Gilbertson氏がこの動作をデモしている。
プロパティ名が自動的に,コンポーネントのJSXタグに挿入されている点に注目してほしい。
Angular CLIの統合も興味深い追加機能だ。スキャホールディングやテスティングなどCLIツールの全機能が含まれている訳ではないが,Mike Brocchi氏がInfoQによれば,次のようなメリットがある。
コマンドラインの使用に不慣れな開発者に対して,その障壁を取り除いてくれると思います。
Angular CLIチームのメンバであるBrocci氏は,今回の件でJetBrainsとの共同開発は行なっていないことと,Visual Studio Codeも同様の機能をエクステンションで提供するかも知れないことを話してくれた。
さらに,既存の関数定義をES6形式のアロー関数に変換することを想定した,“アロー変換(Convert to arrow)”機能も導入された。例えば,
const searchTerms = ["InfoQ", "JavaScript", ES6"];
const lowerTerms = searchTerms.map(function (term) { return term.toLowerCase()});
というコードを,次のように簡単に変換できる。
const searchTerms = ["InfoQ", "JavaScript", ES6"];
const lowerTerms = searchTerms.map(term => term.toLowerCase());
Prigara氏はInfoQに,今年末には第3のメジャーバージョンをリリースする予定だと話してくれた。
新機能をより迅速に提供できるように,私たちは今,リリースサイクルをもっと短くしようとしています。また,開発者の採用とブラウザサポートの拡大に対応するため,ECMAScript 2015サポートの改善も引き続き行なっています。既存コードのECMAScript 2015への自動アップグレードを支援するため,さらに多くの機能を提供したいと思います。ReactとAngular 2サポートの改善もロードマップに記載されています。React Nativeの達成状況にも引き続き注目しています。
個人開発者は,月5.90ドルあるいは年59ドル(初年度,2年目以降は割引あり)のサブスクリプションで,WebStromを利用することができる。Microsoftの無償のコードエディタであるVisual Studio Codeの急激な機能向上に対してJetBrainsは,WebStormに引き続き対価を払ってくれるようにJavaScript開発者を説得するためにも,同社の最先端技術をより一層前進させることが必要だ。
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