ラスベガスで今週開催されたPivotolのSpringOne Platform Conferenceの基調講演の中で,テクノロジ・シニアディレクタのCornelia Davis氏が多様性について語った。Pivotalが後援した映画Code: Debugging the Gender Gapの予告編を上映した後にDavis氏は,大手ハイテク企業の女性の少なさを痛感させるその映画の中から,いくつかの統計情報を紹介した。
過去25年間,50人の部署に女性が1人という状況を何度も経験しました。あるいは2人のうちのひとりであったり ... その部署の中で,です。実を言うと,そのような状況に対して,これまではほとんど何もしてきませんでした。気付いていても,何もしなかったのです。
氏が主張する問題は,“白人の男性”というコンピュータ科学者に対する一般的な認識が,女性や他の民族的背景を持つ人々がその分野に関わることを自己規制させてきた,という点だ。
Pivotolは“Girls Who Code”プログラムのための見学施設を提供している。Davis氏はこの活動を次のように説明した – “Girls Who Code”は女子高校生を対象に,コードクラブや夏の集中プログラムを通じてコンピュータサイエンスを紹介する活動である。
活動の成果はすばらしかった – 夏の集中プログラムに参加した10,000人の学生の90%が,コンピュータサイエンスや関連する分野を専攻ないし副専攻に選んだのだ。さらに興味深いのは,参加した学生の77%が,“Girls Who Code”プログラムに参加するまで,コンピュータサイエンスを専攻していなかったことだ。
Davis氏が強調したもうひとつの問題は,1980年代以降,大学でコンピュータサイエンスを選択する女性の数が減少していることだ。“これについてできることは”,と氏は言う。
例えばワシントン大学では,プログラムにある工夫をしました。コンピュータサイエンスの初期プログラムで,女性に興味を持ってもらえそうな生物化学や社会問題といった観点から,主題となるテーマを教えるようにしたのです。さらに,新入生クラスを選択した女生徒に対しては,教授が次のクラスを選択するように勧めることにしました。
Davis氏によると,この施策によって,女性の割合が13%程度から30%まで増加したという。つまり,“1980年代の業界の状況に戻ったのです。”
次に氏が説明したのは,サンフランシスコでOneLoginが実施した募集キャンペーンだ。このキャンペーンでは,そこでの仕事が楽しい理由を話すエンジニアたちを,写真入りで紹介している。ポスターのひとつを紹介しよう。
彼らがキャンペーンを行なった時にソーシャルメディアでは,OneLoginがモデルを使っていると取り沙汰された。Isisさんが“エンジニアには見えなかった(didn’t look like an engineer)”からだ。
IsisさんはMediumに記事を掲載するとともに,Twitterのハッシュタグ#LookLikeAnEngineerで自身の写真を公開した。
ひとつの革命が始まりました。数ヶ月の間に何万人というエンジニア - 男性,女性,白人,非白人など,あらゆるエンジニア - が#LookLikeAnEngineerと言って,自身の写真をTwitterに投稿したのです。
Isisさんに対するリアクションは,人々が無意識に持っている,時には我々すべてが持つバイアスの結果だ,とDavis氏は主張する。そして氏はTextioやUnitive,氏が取締役を務めるGapJumpersのBlind Auditionsなど,多数のツールを紹介した。
氏はさらに,ハイテクカンファレンスにおける多様性の問題にも言及した。
私は先日,3日間にわたるカンファレンスに参加しました。大きなステージで18の基調講演がありましたが,その18すべてが男性によるものでした。ステージには女性も何人か登場しましたが,彼女たちはカンファレンスのオープンを飾ったパフォーマだったのです。ステージに上がった中に,女性の技術者やビジネス関係者はいませんでした ... これにはとても失望しました。
Davis氏は自身の基調講演のまとめとして,多様性はビジネスにとっても望ましいものだ,という意見を述べた。“多様性に富んだ役員会を持つ企業は,ROEやEBITも高い傾向があります。これは数字の上からも明らかな,既知の事実です。"氏は参加者に対して,我々の暗黙的なバイアスを取り上げたGoogle Venturesのこのビデオを見るように勧めて,自身の講演を終えた。
InfoQでは今年もSpringOneの全セッションを撮影した。ビデオはすべて,今後数ヶ月にわたって本サイトで公開される予定だ。
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