チームの構成はチーム内のコミュニケーションより重要ではない、というのがGoogleの最新の研究の結論だ。Googleの研究者は同社のチームがより効果的に働くための5つの要素を特定した。この研究によれば、心理的安全性、信頼性、構造、意味、インパククトが在職期間、スキルレベル、場所などの性質よりも大きな影響を持っている。
Project Aristotleというプロジェクトで、Googleは異なる多くの領域から情報を集めた。チームの力を駆動する要因について研究者がリーダーたちにインタビューし、その結果を自己評価と売り上げとを比較した。また既存のデータ(Googleの仕事と生活についての経年研究)を使って、チームの力に関連する要因につうての知見を集めた。スキルセットやグループのダイナミズム、個人的性質、在職期間、場所、心の知能指数などの変数を収集し評価した。研究者はチームの力と強い相関がある要因を見つけようとした。
Googleの研究者であるJulia Rozovsky氏のこの研究結果の解説動画によれば、成功するかどうかを決定する要因はチームの誰がいるかではなく、チーム内でどのようにやりとりをしているかだ。Rozovsky氏は心理的安全性は5つの中で“最も基礎にあり最も重要な”要因だ、としている。心理的安全性は個々人が個人としてリスクを取れると感じているかどうかを説明する。グループ内でリスクを取るということ(新しいことに挑戦したり、失敗や不確実性を認めたり)がより居心地よい状態でできるのなら、チームはより効果的に働けるようになる。
Googleはこの研究の要約を公開していて、この5つの領域を改善するのに役立つ方法を示している。Googleの力のあるチームではこの5つの性質が共通だったということであり、会社によってさまざまかもしれない、と注記している。
高い心理的安全性を持つチームはそれぞれが同じくらいの持ち時間で話す傾向がある(例えば、与えられた時間内でそれぞれのメンバが同じくらいの時間を話す)。また、そのようなチームはCharles Duhigg氏がTechInsiderの動画で話している“仰々しい聞き方”を実践し、話を聞くときは話し手に集中し、話し手がその集中に気づくようにしている。例として、相手の議論のポイントを反復したり、誰かが受け取った感情に気づいたり、どう感じたかを質問したりすることが含まれる。Googleはチームからのインプットと意見を奨励し、仕事の好みを共有し、他の人もそうするように薦めること、心理的安全性という概念に意識的になることを奨励している。Harvard Business Schoolの教授であるAmy Edmondson氏は心理的安全性の概念を紹介した人物だが、Googleは彼女のTEDの動画も奨めている。
信頼性も研究者が見つけた要因だ。これはチームのメンバが質の高い仕事を時間内に仕上げることで示される。チームが一緒になって役割や責任を確認し、完了した仕事を完全に透明にしておくことで信頼性は促進される。
3つ目の要因、構造と明晰さは仕事に対する期待についての明確な理解を保持することで示される。個人レベルでもチームレベルでも、だ。チームはゴールを頻繁に共有し、ゴールを達成するための計画を頻繁にレビューすることで改善する。
個々人が仕事を仕上げることに対して目的意識を持つことが4つ目の要因である意味の例だ。仕事が完了したことに対する評価を表現したり、サポートを表明したり、フィードバックをしたりすることで、個人的な意味の感覚は改善される。
Googleの研究者が特定した最後の要因がインパクトだ。チームが組織に対してどのような貢献をしたのかを理解することがこのインパクトがどのようなものかを示す一例だ。個々人の働きがどのように他人に影響を与えているか(ポジティブにもネガディブにも)について頻繁に会話することでこの要因のチーム内での存在を高めることができる。
この研究はデータに基づいているものの、Googleの研究チームはチームの力に関する先行研究を調査しておらず、チームやチームワークに関連する過去の研究に基づいた情報を組み立てられていない、と指摘する人もいる。AGLX ConsultingのChris Alexander氏は、心理的安全性は重要だが、チームの特性ではなく、チームが育つために必要な組織の要素だと指摘している。Amy Edmonson氏の言葉を引用して、 “心理的安全性は組織にとってとても重要な要素であり…チームのスキルや振る舞いではない”と書いている。
Alexander氏は“私たちはチームやチームのメンバにある種のテクニックや振る舞いを使って効果的にコミュニケーションするように教えることができます。同じように、チームがよりアサーティブな方法でコミュニケーションするようにトレーニングすることもできます。しかし、単純に‘心理的に安全になる’よう訓練することはできないのです。”と書いている。
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