Alistair Cockburn氏は先日,オリジナルの著者および署名者のひとりとしての観点から,アジャイルマニフェストに対する自身の見解を投稿した。氏は読者に対して,当時の著者たちの視点に対する理解を求めると同時に,2001年に結実させたこのアイデアを拡大すべく,オリジナル版の署名者の多くが現在進めている活動について,その詳細を理解するように訴えている。
挑発的な “How I saved Agile and the Rest of the World”というタイトルを意識的に使用した氏は,すかさず次のように述べている。
何かを救おうというのではありません。アジャイルマニフェストを書いた17人の全員が,豊富な経験とさまざまなバックグラウンドを持っていることを知ってほしかったのです。アジャイルソフトウェア開発の伝統を理解していると主張するには,それを書いた17人にインタビューする必要があります。誰かが死んでしまう前に,それを行なってくれる人がいるとよいのですが。
マニフェストを更新すべきという意見に対して,氏は真っ向から反対する。
事前に目的や議題を持たない,自由な議論(free-for-all)でした。 最大限の自己組織化が,すべての面に対する深い敬意と寛大な意見聴取によってまとめ上げられました。そこで生まれたのは,まさにこの17人であればこそ作り上げることのできた,歴史的な瞬間だったのです。その最後に私たちは,まさにその理由から,マニフェストの更新は行なわないという点で合意しました。(ですから,私たちにそれを求めないでください。)
氏は当時の状況として,それぞれの著者による継続的な貢献のあったこと,彼らの発想が個々の視点の複雑なコンビネーションを形成し,その結果がマニフェストの価値と原則として体系化されたこと,などを紹介すると同時に,その後の彼らの活動が以降のアジャイル開発の方向性に大きく影響したことについても論じた。
注目して頂きたいのは,アジャイルマニフェストが17人の,出身学校もバックグラウンドも違う人々によって作られたという点です。私たちが到達したことばに対して,特定の人物が責任を取ることはありません — 間違いなくそれは,17人で作り出したものなのです。ひとりが加わっても,あるいは欠けていても,作り出された成果,すなわちこの会議で私たちが認識し議論したものは違っていたでしょう。
同じくオリジナルの著者のひとりであるJim Highsmith氏は,アジャイルマニフェストの歴史を書いて同Webサイトに掲載している。氏が協調するのは,マニフェストの背景にあるモチベーションの重要性だ。
本質的に私は,アジャイルマニフェストとは“形のない(mushy)”ものだと考えています。“重要な資産としての人々”を語るだけに留まらず,そこから“資産”ということばを取り除き,人々が最も重要であるとして実際に“活動”するような環境を運用し,それを通じて顧客に優れた製品を提供することなのです。ですから最終的な分析として,アジャイルマニフェストに対する関心 — 時には強烈な批判 — は,価値と文化の無形な部分を扱うものなのです。
InfoQではCockburn氏の持つ課題について詳しく聞き出すと同時に,17人の著作者全員がインタビューに応じてくれることを願っている。
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