フロリダ州オーランドで開催されたBetter Software East / DevOps East / Agile Dev Eastの3日目と4日目には、最初の2日間と同様の傾向が続き、幅広い話題を扱いながらテストを重視した講演が行われた。 1日目と2日目はは半日または終日のチュートリアルで満たされたが、3日目と4日目は1時間単位の講演に基づいていた。
3つの会議で予定されている64コマの講演のうち、15コマ(ほぼ4分の1)がテストの話題を扱った。これらの講演のなかでも、DevOps、Internet of Things、意思決定にメトリクスを使用する傾向が増えていること、などを背景に、テスターの役割がどのようなものになるかを議論することが最大のシェアとなった。議論内容は講演によって異なったが、その大部分は、従来テスターが行ってきた多くの活動(手動で実行されるテスト・スクリプトなど)がもはや有効ではないとしても、異なる方向から物事を考えるという能力はまだ有効に使える、という根本的なな考え方に基づいていた。このように、テストに関する話のほとんどは、ツールやテクノロジーから離れ、組織内のテスターを統合する方法に焦点を当てている。注目すべき例外の1つは、Alexander Andelkovicの講演「テストにおける人工知能:今こそが未来」であり、ゲーム開発会社Kingの人々が、人間の行動を模倣するためにさまざまなボットを訓練し、キャンディークラッシュサーガのようなゲームの難易度をテストした手法について説明した。
テスト以外では、次に最も議論の的になったトピックはコミュニケーションとなるだろう。特にChatOpsプラクティスの新興には特別な言及が必要である。ChatOpsの基本的な考え方は、可能な限り多くの仕事をインスタントメッセージングアプリケーションに集中させることで、仕事とコミュニケーションをよりよく統合することである。これは従来のIMツールでは実現できなかったが、HipChatやSlackのような現代的なものには、このコンセプトの基本となる3つの特徴がある。パブリックとプライベートのチャンネルを自由に作成できる機能、他のユーザーと同様にチャットルームへメッセージを書き込めるサードパーティツールの統合、そして最も重要なのは特定のコマンドに応答できるボットを埋め込む機能である。
Raj IndugulaとRobert Brownが説明したように、サードパーティツールからの通知について理解するために重要な点は、これらが同期的に重要である傾向があることだ。たとえば、ビルドが壊れていることを示すCIサーバーからの通知は、開発者がすぐに調べる必要がある。しかし、通知というものは伝統的に電子メールで送信されるように構成されてきた。これはむしろ非同期の通信メカニズムである。このことは、イベントが十分に迅速に処理されないことや、陳腐化した通知が人々の受信ボックスを汚染することを引き起こしがちである。したがって、このタイプの通知はIMツールに送信する方が、より迅速な対応が可能となり、メッセージをスクロールして無視することができる。ただし、過剰な通知によってチャットルームに過度のノイズが発生するリスクは残る。そのため、複数のチャネルを作成し、関連するチャネルだけに通知を転送する機能が非常に重要になる。
しかし、IndugulaとBrownが示した最も革新的だったことは、IMツールから離れることなしに、ボットを使用して外部システムを制御する能力だった。この2人のスピーカーは、オンラインのかんばんボードツールであるTrelloの例を挙げた。 TrelloとSlackの統合は、メッセージボードをコマンドラインとして使用するだけで、Slack内からTrelloのさまざまなカードを操作できるボットによるものである。この方法で、 "/trello add New Task"
と入力すると、TrelloボットはTrelloインスタンスに接続し、 "New Task"という新しいカードを作成する。これは、チームメンバーがIMツールからタスクを管理できるようになることを意味しているが、"/hangout"
コマンドを使用して迅速にチーム全体とHangoutビデオ会議を開始したり、GitHubのプルリクエストを管理したりといったことも可能である。統合可能な作業のリストは成長を続けており、Slack App DirectoryやHipChatのAtlassian Marketplaceで見つけることができる。
まとめると、Better Software East、DevOps East、Agile Dev Eastから得られた主要な結論の1つは、組織は、文化的に変容しながら伝統的な役割に適応する方法に注意を向け続けるだろうということである。特にテスターは、新しい活動に自身のスキルを再利用するために進化しなければならないだろう。もう1つの主な結論は、コミュニケーション管理は多くのチームにとって痛みを伴う点であり、より効果的な方法で情報のフィルタリング、配布、共有を支援する、新しいツールの作成につながってきているということである。