最近開催された、Grace Hopper Celebration of Women in Computingで、ThoughtWorksはテクノロジー業界で女性のための一番の企業であると認定された。InfoQは同社のCTOであるRebecca Parsons氏に同社の文化やこの認定について話を聞いた。
InfoQ: インタビューを受けていただきありがとうございます。また、今回の認定おめでとうございます。ThoughtWorksはどのようにして"女性技術者が活躍できる"組織になったのでしょうか。
ありがとうございます。私たちは受賞を光栄に思っています。しかし、私たちにとっても業界や社会にとっても先の道のりは長いです。
いくつかの文化的要因があります。しかし、根本的には私たちの会社の社会的経済的正義に対する深いコミットメントから始まっています。私たちは従来の場所ではないところで採用に余計な労力を費やしています。トレーニングやリーダーシップの開発に投資しています。また、多様性、インクルージョンのトレーニングに投資してきました。無意識のバイアスについてもです。性差の平等へ向けて努力するのは仕事上の要請だけではありません。これが正しいことだからするのです。わたしはこの業界のさまざまなセクターで長年働いてきました。ThoughtWorksは私や多くの同僚にとっては家庭のようなところです。私たちの才能とスキル、ものの見方や態度、適性と完全性を評価してくれるからです。変化をもたらすのは大変な仕事だということはわかっています。引き続き、注力し続けます。外部のエージェントを使う場合は、彼らに多様な候補者を提示するよう求めています。社内の配置換えや昇進ではこのことを自分たちに課しています。人材の確保や昇進については常に問いを持っています。これには集中力が必要です。
InfoQ: 職場の多様性が企業や顧客、同僚に良い成果をもたらすということについては多くの根拠があります。しかし、テクノロジー業界を去る女性の数は参入してくる女性の数を上回っているようです。なぜでしょうか。
女性が担っている家庭での役割についてのもっともな議論がありますが、一部の研究によれば、テック業界を去った女性のうち、家庭が原因なのは25%にすぎません。文化に対する不満、昇進機会の欠如によって多くが去っているのです。テック業界は男性より女性にとって好ましくない場所であるのは間違いありません。ハラスメントのニュース、カンファレンスや会議、オンラインで得られる女性の経験を調べてみるだけで、この業界の女性が感じているストレスが理解できるでしょう。多くの女性がこのストレスを価値がないものだと言っています。
さらに、私たちが人間として持っている無意識のバイアスもあります。男性は可能性をベースに昇進し、女性は成果をベースに昇進することが多いです。これはある種の循環した議論を生み出します。男性も女性も女性の名前の履歴書を男性の名前の履歴書をより厳しく見る傾向があります。このような問題に対処するのは女性にとっては手に負えないものであり、結果、業界を去ってしまうのです。
InfoQ: (Forbesによれば)業界の技術職の25%が女性であり、技術的リーダーシップの役割は19%だけにすぎないという数字は残念なものです。この不均衡の原因はなんでしょうか。企業は何ができるでしょうか。
先に述べた無意識のバイアスに関連していくつかの原因を話しました。別の課題として、個人のネットワークの相対的な強さがあります。男性には声の大きい支援者おり、ときには自分で能弁に自分自身を支持します。女性の場合、自己選択的ではあるものの、例えば家庭での役割を鑑みて要求が厳しい役割を求めていないと思われる傾向があります。また、女性は技術的ではない役割へ進みやすいです。
これと戦うには企業がこの問題に真剣に取り組む必要があります。簡単な解決策に飛びつくのではなく、変化を生み出すように継続して注力する必要があります。人材(女性だけでなく)開発に投資する必要があります。バイアスを排して事実に基づいて意思決定しているかどうかを問う必要があります。残念ながら、これは大変な仕事です。
InfoQ: 役割を満たす女性が十分な人数、この業界には集まってこないので女性を雇用できない、という言い訳を聞くこともあります。この議論に対してはどのように対抗しますか。
同じことを繰り返していて、違う結果が生まれると期待するのは馬鹿げたことです。同じ学校を毎年見ているなら、同じような候補者ばかりになります。コンピューターサイエンスの学位だけを見ているなら、この学位を取得しないけれどとても優秀な人物を見逃します。私たちはコンピューターサイエンスの学位を持っていない優秀なソフトウエア開発者の採用に成功しています。女性が10%くらいしか参加していないカンファレンスで採用を行えば、女性が見つからないのは当然でしょう。今年のGrace Hopper Celebration of Women in Computingの参加チケットはあっという間に売り切れました。たった2分です。15,000人の参加者がいて男性は1000人です。女性はここにいるのです。
InfoQ:この生来のバイアスを克服するためThoughtWorksでは、どのような方針やアプローチを採用していますか。
バイアスを自覚するのが第一歩です。人間は攻撃されていると感じすると防御的に反応します。残念なことに人はバイアスと特権について議論するときこのような反応になります。しかし、無意識のバイアスで反応してしまうのは誰のせいでもありません。バイアスの存在を認め、バイアスのよくない帰結を緩和するように試みるのが重要です。私たちは性差についてのバイアスについて会話をする必要があります。それが大変なときですら、話をする必要があります。多くの場合、簡単で都合の良い意思決定は、短期的にはビジネス上の利点をもたらしますが、長期的な多様性の利点をもたらしてくれる難しい選択によって置き換えられます。
私たちは新しい場所で異なるプロフィールを持った人(男性であれ女性であれ)を探すことで状況を改善しています。また、トレーニングやリーダーシップの開発に投資をしています。この問題に対してマネジメントの注意を集めるようにし、難しい意思決定をしてきました。まだ、道のりは長いです。まだ達成してはいません。
InfoQ: ありがとうございました。改めて受賞おめでとうございます。
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