Amazonは顧客からのフィードバックをもとに自身が作成しているAWS Well-Architected Framework (PDF)を更新した。これには新しい柱であるオペレーショナル・エクセレンスが加えられている。
AWS Well-Architected Frameworkにはクラウド上でシステムを構築し、セキュアで効率的かつコストを節約して運用するためのベストプラクティスが含まれている。Amazonによる AWSの顧客のためのアーキテクチャのガイドラインも含まれているが、これらは任意のクラウドプラットフォームで一般的に有効活用できるものである。
このフレームワークは1年前に最初に公開され、現在顧客からのフィードバックや運用することによって得られた知見をもとに更新された。本記事では今年のバージョンで導入された主要な変更のみに言及するため、このフレームワークに馴染みがない読者はInfoQの最初の記事を読むことを推奨する。
最初から存在した4つの柱であるセキュリティ、信頼性、効率性、コスト最適化に加え、AWS のアーキテクトチームは5番目の柱を導入した。オペレーショナル・エクセレンスである。これは'事業価値を提供するためにシステムを実行・監視し、プロセスや手続きの支援を継続的に改善する能力'のことを指す。このベストプラクティスでは下記のようなことにより製品で実行するソフトウェアに対するオペレーショナル・エクセレンスを保証することを推奨している。
- コードによりオペレーションを実行する:可能な限りオペレーションを自動化する。
- オペレーションのプロセスを事業の目的に合わせる:事業のニーズを支援するメトリクスだけを収集し、事業のイベントに適切に応答する。
- 定期的・小規模・インクリメンタルに変更するようにする:実行するソフトウェアはサービスを停止せずに定期的に少しずつ更新されるコンポーネントから構成されるべきであり、これらのコンポーネントは必要に応じて変更をロールバックできるようになっているべきである。
- 予期しないイベントに対して反応するためのテストを用意しよう:予期しないオペレーションイベントにどう反応するかを確認するためにシステムに失敗を注入する。このようなイベントに反応するための明確な手順を開発しよう。
- オペレーションのイベントと失敗から学習しよう:改善を行うために、様々なオペレーションのイベントの間システムがどのように振る舞うかを監視・解析しよう。
- 処理手順を最新に保とう:時間とともに進化するのに従い、現在のシステムを正確に反映するように手順と指針を更新しよう。
このWell-Architected Frameworkには、クラウド上に良いシステムを構築することを意図した数々の設計原理が記載されている。
- キャパシティに関するニーズを推測することをやめよう:キャパシティに関するニーズを推測したり不適切なキャパシティが招く危険を犯すよりも、クラウドのスケーラビリティに対応する能力を常に利用しよう。
- システムを製品のスケールでテストしよう:製品で起こりうるところまでシステムをスケールアップし、実環境でどのように動作するかを確認するためのテストをしよう。テストが終わったら余分なリソースは廃棄しよう。
- アーキテクチャ上の実験をより簡単に行うために自動化しよう:システムを生成するための全てのプロセスを自動化し、システムを簡単に複製可能としよう。加えて、以前の状態に戻すこともシンプルにできる。
- 進化的アーキテクチャを実現できるようにしよう:自動化することによりアーキテクトがシステムを進化させられるようになり、テストを容易にして新しい設定を反映させるようにすることができる。
- データ駆動アーキテクチャ:アーキテクチャが処理するソフトウェアにどんな影響を与えるかを評価するために使用できる、オペレーション上で必要なデータを収集しよう。このデータは自動化コードを調整することにも使える。
- 本番環境を通じて改善しよう:製品においてオペレーションのイベントを模擬するために失敗を注入しよう。これはイベントが投入されて訂正の必要がある時に、システムがどう振る舞うかを理解するためである。
このフレームワークには、構築された全5本の柱に関して、AWS rootアカウントの認可されていない使用に対する防御、ネットワークトポロジの計画、計画外のオペレーションのイベントへの対応、その他多くの実際の問題に対応するための方法に関する指針を提供する質問と回答が含まれている。クラウド上に成功裏にシステムを構築するための仔細な観点を得るためにこの文章(AWS Well-Architected Framework)を読むことを推奨する。
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