学習のためにチームで10%の時間を自主的に使えるようにすると、納品までの時間が減少し、品質やモチベーションが向上すると、EricssonのリードアジャイルコーチでトレーナーのGiuseppe de Simone氏は主張する。De Simone氏は、Agile Greece Summit 2016において、「ネットワーク化された社会であるこの世紀を管理する」を発表した。この発表は、チームの自主性を向上させるために「10%ルール」をどのように試したかを調査したものだ。
チームは、自分で選んだトピックに関して、自分の時間の10%を使うことができる。このルールでは、自分たちが重要だと思うことに取り組むために、チームに完全な自主性を与える。De Simone氏によると、これにより、チームメンバの創造性を解放し、チームは潜在能力を成長させられるようになる。
「”10%タイム”:Agile on the BeachでElizabeth Pope氏が賛否を語る」のInfoQの要約では、Holiday Extrasでは「10%タイム」をどのように適用したかを述べている。
「10%タイム」とは、週労働の中で本質的に割り当てられた時間のことで、「いつもの仕事(BAU - business as usual)」ではなく、研究開発や学習、専門能力開発にフォーカスを当てるものである、という説明で講演を始めた。典型的なUKベースの週労働からすると、週のうち4時間(半日)をこれらの活動に充てられる。
要約によると、研究開発や学習に仕事時間の10%をつぎ込むことは、個人にも会社にも利益があり、以下のような結果が得られる。
- 個々の成長
- 会社に革新をもたらす実験的な作業
- 効率の向上
- 協力の促進
- 「自己組織化」スキルへの取り組みと成長を促進
- 不具合を修正し、技術的負債を取り除く
Agile Greece SummitのGiuseppe De Simone氏の講演の後、InfoQは、従業員が10%の自主タイムですること、10%の自主タイムがもたらす利益、学習を向上させるために会社ができる活動について、De Simone氏と話をした。
InfoQ: 10%の自主タイムで従業員がすることについて、例を挙げてもらえますか?
Giuseppe De Simone氏: それは、この機会を与えられたチームがそれぞれ選びます。私が一緒に働いた中で最も成功したチームは、CIシステムの改善、バリューストリームのスピード向上、単なる読書、実践コミニュニティで時間を過ごす、dojoのコーディング、または、自分たちが選んだ課題に関して、アイデアのプロトタイプを作成するようなことに、自分たちの時間を使いました。その他のチームは、ふりかえりであげられた活動を実施するのに時間を使いました。
InfoQ: 10%の自主タイムがもたらした利益は何ですか?
De Simone氏: 私がコーチングしたある会社では、18ヶ月で、機能を開発する平均リードタイム(コンセプトからリリース準備が整うまで)を25%減らし、顧客側の不具合を42%減らしました。同時に、モチベーションの指標を10%向上させました。
基本的に、スクラムと新しいリーダーシップのスタイルのおかげで、私たちはこの2つの結果を手に入れました。このスタイルは、私が講演で紹介したふるまい、スキル、ツールに基づいたもので、21世紀に再発明した考え方の波に影響を受けています。
多くのことは、これらの結果にたどりつくための基本であると分かったことですが、みんなの創造性を開放し、チームが完全に潜在能力を成長させなければ、できなかったことです。このゲームの大きな部分を占め、投資された時間に対するビジネスリターンに値する10%の完全な自主タイムは、定量化が難しいでしょう。私が評価しても、過小評価となるでしょう。
InfoQ: 学習をサポートするために、どのような活動をしましたか? それによりどのような利益がありましたか?
De Simone氏: 学習プラットフォームを構築することは、私が取り組んだ多くの努力の中で重要な要素です。会社が、日々の作業の中で21世紀のマネジメントの原則を実施し、現在のビジネスの挑戦に値するリーダーシップを採用したいならば、これが柱の1つになります。
Agile Greeceの私のセッションは、アジャイルへ変換する一握りの会社をサポートする私の経験を元にしていました。この内容で、私は、様々なリーダーが多種多様な方法で学習を発展させ始めたり、サポートしたりする具体的な例を共有しました。
- ハッカソン: 24時間ノンストップの活動。チャレンジを始めて、プロトタイプのアイデアをデモに変える情熱を持つ、世界各地の人々を集めてチームを作る。
- 読書クラブ: 集まって、読む本を決める人たちの小さなグループ。ホームワークの量を決めて、1週間に1度、ランチを食べ、感想を共有し、何を読んだのかを学ぶ。
- ビデオクラブ: 毎週1時間、ランチタイムに少人数のグループで集まり、30分のビデオを鑑賞し、洞察したことを共有し、実り多い会話をする。
- 集合: 特定の役割や専門に挑戦することに注目した1日の会議。例えば、4月に、私たちは、Stockholmで1日のオープンスクラムマスタの集まりを計画した。11の様々な企業から、1日のオープンスペースに約130人が参加した。約30の様々なトピックについて、議論・共有された。オープニングとクロージングの基調講演がイベントを盛り上げた。
- 実践コミュニティ: 開発者、マネージャ、コーチの集まり。
従来の会社が、ある程度スキルのある従業員が従うべき、詳細なプロセスを設定して展開する一方で、本当にリーンでアジャイルな会社は、人々と専門家たちが自分たちの仕事において最高の状態になるようにし、自分たちの仕事にとって、最も適切なプロセスを自分たちで決めさせます。
素早く変化する最も反応のよい方法で、自分たちの顧客を喜ばせる機会が多いのは、どちらだと思いますか?
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