Microsoftは先日,Microsoft FlowのGA(General Availability)を発表した。多くの人気あるオンラインおよびオンプレミスサービスと接続したワークフロー機能を提供する,クラウドベースのオートメーションプラットフォームだ。Microsoftは2016年4月にMicrosoft Flowのプレビュー版を発表した。それ以来,139カ国の61,000以上の組織から117,000人を越えるユーザが,このサービスを利用している。ローンチ時点では42の言語,6つのリージョン,99.9%のSLAでのサポートとなる。
IFTTTと比較されることの多いMicrosoft Flowは,さまざまなオンラインサービスを対象とした接続機能と自動化を提供する。同社プリンシパルグループPMマネージャのStephen Sicilliano氏は,Microsoft Flowが解決しようとしている問題を次のように説明する。
過去10年間,クラウド利用は前例のない爆発的増加を見せてきました。今日では自動車の購入から経費報告書の提出まで,個人の生活から仕事まで,ほとんどの事をWeb経由で行なうことができます。これらクラウドソリューションには無数のメリットがあります — サインアップが簡単で,すぐに使用できて,モバイルデバイスでも利用可能です。しかし問題なのは,個々のサービスが独自のサイロ内で動作していることです — ふたつ以上のサービスを使って何かをしようとすると,一方からもう一方へデータを取得することが問題になるのです。
Microsoft Flowサービスはこのような接続性の問題を,Office 365,Dynamics 365,Yammer,Instapaper,Pinterest,Slack,Salesforceなどのさまざまなサービスを接続可能なオートメーションプラットフォームを提供することで解決する。これらオンラインサービスに加えて,SharePoint ServerやSQL Serverなどのオンプレミスプラットフォームの接続も可能だ。これらの接続は,Microsoftオンプレミスデータゲートウェイを介して行われる。これはAzure Logic AppsやPower Apps,Power Biといった,同社の他のクラウドベースのサービス間のコミュニケーションを行なうものと同じゲートウェイである。
Microsoft Flowワークフローは,最新のWebブラウザやAndroidおよびiOS用のモバイルアプリを含む,多数のツールで作成することができる。開発時間を短縮するために一連のテンプレートが用意されており,ユーザのデリバリ迅速化を実現している。提供されるテンプレートは次のようなものだ。
- SharePoint承認
- Google CalendarからOffice 365 Calendarへの同期
- VIPからのEメール受信をプッシュ通知で受信
- 英語以外のメールを翻訳
- Instagramの新しい写真をTwitterで共有
- Jiraの新しいイシューをSlackにポスト
出典: https://flow.microsoft.com/en-us/blog/announcing-ga/
Microsoft Flowは,ビジネスユーザあるいは一般開発者が,通常のタスクやビジネスプロセスの自動化に使用することを意図している。外部にホストされているSaaSアプリケーションへの接続を行なうツールを提供している一部の組織では,セキュリティ上の問題が発生する可能性がある。こういった企業の懸念に対処するためにMicrosoftは,Microsoft Flow Admin Centerを提供している。同社プログラムマネージャのSunay Vaishnav氏は,Flow Admin Centerについて次のように説明する。
環境の作成,アクセス権の管理,データ損失防止(DLP/Data Loss Prevention)ポリシのセットアップが可能です。特定のビジネスデータを共有するサービスを,管理者が定義することができます。例えば,Flowを使用するある組織は,SharePointに格納されたビジネスデータを自動的にTwitterフィードには公開したくないかも知れません。
出典: https://flow.microsoft.com/en-us/blog/intro-flow-admin-center/
Microsoft Flowは無料と有償の2つのサービスプランで利用可能である。無償のプランには月当たりの実行数,フロー実行の頻度,利用可能なコネクタなど,いくつかの制限がある。有償サブスクリプションでは,より多くの突き当たり実行数,フロー実行頻度が可能である上に,Salesforceやオンプレミス接続用のプレミアムコネクタを利用できる。Office 365およびDynamic 365サブスクリプションプランにも,Microsoft Flowの実行権が提供される。詳細はMicrosoft Flowの価格ページを参照して頂きたい。
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