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AmazonがLightsail VPSサービスを開始

原文(投稿日:2016/12/04)へのリンク

Amazonは、Digital OceanLinodeや多数のLow End Boxプロバイダと競合するVirtual Private Server(VPS)サービスであるLightsailを開始した。このサービスは、SSDストレージがついた基本的なLinuxバーチャルマシンと通信データ量の割り当てを含んでいる。価格設定は、RAMの割り当て量に応じて月5ドルから。大規模な構成のほうがストレージと通信データ量は多くなるが、価格に比例してサイズが大きくなるRAMほどではない。

小規模のAWS EC2インスタンス、特にt2.microなどの新規ユーザー向けに無料利用範囲を提供するものは、VPSとしばらくの間、競合することになる。EC2の主な問題は、通信データ量のコストで、成功するプロジェクトでは容易に数テラバイトの通信データ量を消費し、それによって数百ドルのコストが発生する。無料利用範囲はわずか15GB/月である。エントリーレベルである月5ドルのLightsailのインスタンスには1TBの通信データ量が提供されるが、EC2では同じ通信データ量に対して89.91ドル(無料利用範囲が与えられているユーザーでは88.65ドル)の費用がかかる。Lightsailでは、割り当てられた通信データ量を超えたユーザーには、標準のEC2レートである0.09ドル/GBが課金される。これは、割り当てられた通信データ量を使い切ると通信を停止する一般的なVPSの動作よりも好ましいが、Economic Denial of Service(EDoS)につながる可能性もある。

Lightsailには、追加料金なしで静的IPアドレスのオプションが含まれる。このオプションはそれだけで、最小規模のタイプの月額料金に近い価値がある(静的IPであるEC2 Elastic IPの費用が30日間で3.60ドルであるのと比べると)。LightsailサービスにはDNS管理も含まれるため、ユーザーはAmazonのRoute 53サービスのために0.50ドル/ゾーンの支払を避けることができる。

Lightsailは(最近更新された)AWS管理コンソール内のEC2の一部ではなく、代わりに典型的なVPSサービスと同様の機能を提供する簡素化された管理Webインターフェイスを提供する。これは、LightsailのSSH鍵管理、ネットワーク設定、DNSが、AWSの長期ユーザには馴染みのあるAWS操作感からとは別物であることを意味する。ファイアウォールの設定は、EC2セキュリティグループと比較して基本的なもののみとなっており、開放されているポートへのアクセスをIPレベルで制限することができない(つまり、インターネット全体からアクセスできるか、一切アクセスできないかのみ)。ポート22とポート80はデフォルトで開放されており、閉じることはできない。Lightsailのユーザーインターフェイスには、キーストアに直接統合されたWebベースのSSHコンソールもある。メトリックは管理コンソールでも利用できる(AWS CloudWatchでは表示されない)。

他のすべてのAWSサービスと同様に、管理コンソールはAPIを介して利用可能な機能の一部を公開する。つまり、Lightsailをコマンドラインインターフェイス(CLI)から操作したり管理することができる。 APIキーは、AWS Identity and Access Management(IAM)を使用して管理される。

Lightsailは基盤としてEC2で採用されたXenハイパーバイザを使用しているため、コンテナベースのVPS(OpenVZやそれに類似するコンテナが動作するVPS)でできないことができる。つまり、LighsailユーザはDockerのようなコンテナ管理ツールを実行し、VPSセキュリティポリシによって頻繁にブロックされるループバックファイルシステムのような /dev/ インターフェイスを利用することができる。

現在のところ、基本OSとして、Ubuntu 16.04と、RedHatの派生であるAmazon Linuxの2つの選択肢がある。ユーザーはBitnamiのWordpress、Magneto、Drupal、Joomla!、GitLab、RedmineようなアプリケーションスタックやNode.js、LAMPMEAN、Nginxのようなソフトウェアスタックを選択できる。

Lightsailが典型的なVPSサービスよりも優れている1つ領域はバックアップであり、それにより、ユーザはスナップショットをとれる(月額0.05ドルの課金)。このAPIを使用すると、スナップショットを別のインスタンスタイプに復元できる(そして、静的IPを割り当てられる)ため、インスタンスを増減できる。

AmazonはVPSプロバイダと、特に通信データ量に対する課金については、価格競争しておらず、それが従来のVPSプロバイダと異なる点である。これは、既存のユーザに対して、他のプロバイダに乗り換える理由付けにはほぼならないが、新規ユーザに対して、より広範なサービスポートフォリオへの第一歩となるエントリレベルのサービスを提供することになることを意味する。Lightsailを、EC2で動作するアプリケーションのフロントエンドプロキシとして使用することで、付帯する通信データ量を活用する提案がされているが、これはコストを気にするユーザーに対してのアピールにしかならない。もちろん、それは通信データ量の課金に関する課題に対しての一筋の光となったが、Amazonが巨大なグローバルネットワーク(re:Invent 2016でのJames Hamilton氏のキーノートが詳細に説明している)を構築しているといえども、他のリソースに比べると低価格化は進んでいない。

 
 

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