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Nomulus - GoogleのオープンソースTLDレジストリプラットフォーム

原文(投稿日:2016/11/28)へのリンク

Googleは10月中旬,同社のTLDレジストリのコアソフトウェアであるNomulusオープンソースとして公開した。このソフトウェアは,クラウド内で新たなトップレベルドメイン(TLD)の作成と管理を可能にすることにより,インターネット・リアルエステートの現行ビジネスを急速に発展する新しいジェネリックTLD(gTLD)の世界に拡張するとともに,今後の新規参入者に対する参入障壁の軽減を実現するものだ。

Nomulusは,特別な設定を必要とせずに豊富な機能を提供する。Google App Engine上で動作するように設計されたクラウドベースソフトウェアであるため,ドメインのリースに関する利用数や登録数,問合せ数の増加に対して,迅速かつ効率的にスケールアップすることができる。

価値の高いメトリックを提供する手段として,Nomulusは,登録アクティビティに関するレポートを生成する機能を備えている。このレポート機能は,月毎のレジストリアクティビティ報告など一部のICANN要件はカバーしているが,ICANNの要求するすべてのレポートを含んではいない。具体的にはレジストリデータエスクローレポートや,月次トランザクションレポート,ゾーンファイルアクセスレポートなどについて,生成機能のいくつかを部分的に含んではいるものの,現時点ではサポート対象外だ。

Nomulusにはレジストラ用のセルフサービスツールを提供するWebコンソールや,gTLDの管理とドメイン作成を行なう管理コマンドラインツールも含まれている。DNS要求とWHOISクエリを処理や,ドメインオーナシップのトラッキング,登録の更新(あるいは生成),可用性チェックなども実行する。

Nomulusの導入を検討している将来のユーザは,ただし,初期バージョンであるための問題点にも注意しなくてはならない。Nomulusは多くの機能をアウトオブボックスで備えてはいても,レジストリを新規に立ち上げるターンキーソリューションではない – 利用可能なDNSシステムの提供が(前述のICANN要件のレポートに加えて)必要だ。また,Google AppEngine上で動作するように設計されており,その他のクラウドプロバイダについてはサポートされない。

最後に,Nomulusで稼働するレジストリには,機能面やエンタープライズサポートといった部分で,最先端のソフトウェアにはありがちな意外な問題点や粗削りな部分も残されている。Google自身を除けば,執筆時点でNomulusを実運用している企業はただひとつ,Donutsというレジストリがあるのみだ。Googleの発表によると,Donutsのインスタンスに関する詳細情報が,将来的に公開される予定である。

インターネットTLDの数を急増させるというICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の2011年の決定に触発されて,GoogleはジェネリックTLDのレジストリ運用のためのフレームワークとツールセットとしてNomulusを開発した。gTLDのレジストリオペレータは,承認されたTLDのドメイン登録に関する信頼できるソースである – 従ってGoDaddyや1&1といったドメインレジストラは,gTLDレジストリオペレータに接続することでドメインを販売できるのだ。

NomulusをオープンソースにするというGoogleの発表は,gTLD市場に一層の弾みを付けるものとして期待される。Nomulusはまさに,一般向けインターネットドメイン名の様相を一変するに足る存在なのだ。ドメイン名レジストラもまた,同じような影響を受けることだろう。

レジストリになることに興味のある向きにとって重要なのは,gTLDビジネスへの参入の決断は十分な考慮なしに行われるべきではない,という点に注意することだ。例えば,独立gTLDレジストリになるには,標準的な185,000ドル(USD)の評価料を含む大きな投資を必要とする。その決断ができるのならば,入門用に新規参入者向けのレジストリガイドブックが提供されている。

NomulusはJava 7で記述されており,Apache Software 2.0ライセンスの下で提供される。

 
 

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