ディープラーニングはニューラルネットワークを起源として,マシンラーニングの中で急速に進化しているサブフィールドだ。最近のアルゴリズム的な進歩とGPUによる並列化の活用は,囲碁のようなゲームをマスタするだけでなく,ディープラーニングをベースとしたアルゴリズムによる実用的なアプリケーションをいくつも実現している。
ファッション業界はディープラーニングの対象分野のひとつだ。 Giltはディープラーニングを,製品のレコメンデーションや衣料品の特性による分類に使用している。ドレスのファセット,TPOやシルエット,襟ぐり,襟のタイプの自動識別には,FacebookのTorchライブラリをベースとして利用する。TorchではImageNetでトレーニングされたモデルを使用して,それぞれの写真に前もって付けられたタグを利用すると同時に,Gilt独自の機能によってそれを拡張する。システムはEBSとP2インスタンスを中心に,サーバあたり最大16GPUを提供するAmazonのクラウドインフラストラクチャを使用している。分類処理の品質のテストには,偽陰性と偽陽性の両方で計量可能なF1 Scoreを採用している。GiltではSaaSの代替サービスもテストしたが,精度とタグの両面で満足いくものではなかった。
一方で,ドレスコードに基づいた製品のレコメンデーションは,ディープラーニングを利用したイメージ類似性検索エンジンであるTiefVisionをベースとしている。TiefVisionもImageNetデータによる分類に基づいている点では同じだが,ニューラルネットワークの最終層を,新たに転移学習(transfer learning)と呼ばれる技術を使用した専用のネットワークに置き換えている。最初のステップとして,Yann LeCunn氏のOverFeatメソッドを使ったイメージの検出を行なう。服が見つかったならば,SiameseネットワークとHinge損失関数をトレーニングに使用する。
AmazonはAWSで選択可能なディープラーニングフレームワークとして,Intelがオープンソース公開したApache Spark用ディープラーニングライブラリのBigDLを利用したMXNetの開発を進めている。その幅広い応用範囲で異常検出の分野でも使用されるディープラーニングを見ていると,ソフトウェアが世界を席巻するだけでなく,ディープラーニングがマシンラーニングの世界を席巻するようでもある。
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