月例のリリースサイクルに従って,Microsoft Visual Studio Codemがバージョン1.9に到達した。マルチコマンドタスクのサポート,Markdownの同期プレビュー,ターミナルの高速化などが施されている。
今回のリリースにおいて,Visual Studio Codeのカスタムワークフローに対する適用能力が大幅に改善されたのには,複数のコマンドを実行可能なタスクの定義が可能になったことが大きく寄与している。これにより,複雑なタスクを実行したい場合でもシェルスクリプトを書く必要なく,ワークフローをカスタマイズできるようになった。例えば次のタスクは,ウォッチモードでTypeScriptコンパイラを起動した後にgulp
を実行するものだ。
{
"version": "0.1.0",
"tasks": [
{
"taskName": "tsc",
"command": "tsc",
"args": ["-w"],
"isShellCommand": true,
"isBackground": true,
"problemMatcher": "$tsc-watch"
},
{
"taskName": "build",
"command": "gulp",
"windows": {
"args": ["build", "win32"]
},
"linux": {
"args": ["build", "linux"]
},
"osx": {
"args": ["build", "osx"]
},
"isShellCommand": true
}
]
}
この例で示されているように,ローカルコマンドには,プラットフォーム固有の引数を指定することが可能だ。さらに,タスクを改良されたTerminalフロントエンド内で実行できるようになったため,キーボード入力とタスクの並列実行も新たにサポートされている。この機能はまだ試験的(experimental)とされているが,tasks.json
内の"_runner": "terminal"
プロパティを指定することで有効になる。
{
"version": "0.1.0",
"_runner": "terminal",
"tasks": [
...
]
}
これに関連して,パフォーマンスの向上とWindowsでのユーザエクスペリエンス改善を目的として,Terminal統合フロントエンドが部分的に書き直された。VS Codeチームによれば,従来より5倍高速になるとともに,大容量のデータを扱う場合のUIのロックが回避されているという。
Mardownエディタは,デフォルトでプレビューペインが表示されるようになると同時に,エディタとプレビューのどちらをスクロールする場合にもテキストビューとHTMLビューが同期する機能が加えられたことで,大幅に改善されている。さらに,プレビュー内のエレメントをダブルクリックすると,エディタがソースの対応する位置で自動的に開くようになった。
Visual Studio Code 1.9には新しいWelcomeページも用意されており,最近使用したファイルの一覧,“フォルダを開く”や“Gitリポジトリを生成する”など最も一般的なオプション, カラーテーマのカスタマイズやキーボードのショートカットなど頻繁に使用される機能へのクイックリンクなどに加えて,テキストファイルを作成しなくてもエディタ機能の学習と体験の可能なインタラクティブ・プレイグラウンドのセクションが新たに提供される。
新バージョンの注目すべき改善点には,他にも次のようなものがある。
- ファイルにペーストしたコードの自動フォーマット機能。
- 言語特有の設定のサポート。
launch.json
設定の必要のない,単一ファイルのクイックデバッグ機能。- デバッグ時のインライン変数の表示。
Visual Code 1.9にはその他にも多くの変更が含まれている。その内容は,バグフィックスと合わせてリリースノートで確認することが可能だ。
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