Microsoftは先週,Visual Basic言語の将来的な開発計画に関する方針変更について発表した。この発表は多くのVisual Basic開発者を不安にさせたが,Visual Basic言語のデザイナであるMicrosoftのAnthony D. Green氏が今回,その新戦略について詳しく説明してくれた。
Green氏はまず,VB開発当時の基本となった4つの基本的な原則について紹介した。
- 共通のIDE,VBとC#によるプラットフォームビルディングブロックの共有。
- “マルチパラダイム,オブジェクト指向,命令型,強い型付け”といった言語特性の共有。
- 言語間の強固な相互運用性の必要性,API境界における言語イノベーションの最もリッチな機会提供(ジェネリクス,LINQ,非同期など)。
- 言語ツール仕様に対するユーザのフィードバック。
現在のVBについてMicrosoftは,Windowsプラットフォームをすでにターゲットとしている開発者だけでなく,プログラミングの初学者一般(少なくともプログラミングが専業ではない人たち)に適した言語のひとつとして考えている。
C#にあってVBにはないもうひとつの影響要因は,非Windowsプラットフォームの台頭だ。Green氏の見解によると,VBは,ゲーム開発やMac OS Xを対象とする開発には適していない。このようなWindows以外のプラットフォームへの適合性の欠如は,ひとつのジレンマを引き起こす – VBと比較した場合,オープンソースにそのルーツを持つF#や,オープンソースツールのサポートが拡大するC#には,開発者の関心を集めてそこに留まらせる上で,言語としてのアドバンテージがあるのだ。C#が多くの開発者を集め,彼らが言語の進歩により多くの貢献をすることによって,さらに多くの開発者を引き寄せるという,正のフィードバックループが構成されているのだ。
Green氏が最後に指摘しているのは,C#とVBの開発スケジュールと機能の整合性を維持する点において,リソースの制限による無理が生じているという点だ。Microsoftには,広範なフォードバックを最も速く,最も多く獲得できるC#に注力したい意思がある。このフィードバックを通じて事例が得られ,その概念がVB開発者にも価値があると思われた時点で,MicrosoftはC#からの移植を検討するのである。
VB言語に投資する価値があるのかどうか知りたい開発者にとって,このことは何を意味するのだろうか?前述した4つの原則は次の目標に置き換えられている – すなわちツーリング,プラットフォーム,そして言語だ。
VBの品質ツールが今後も注目すべき点であることを述べた上で,Green氏は,Visual Studio 2017のライブユニットテストにおけるVBのサポートについて説明した。プラットフォームに関しては,今後も.NET Coreの.NET標準をサポート可能なメンテナンスが継続される。言語そのものに新機能やキーワードは加えられるものの,それはC#に追加されたという理由からではなく,VBの目的に適した場合のみに限られる。VBに追加されないものとして,Green氏は,UTF-8文字列を例にあげている。
VB開発者からの反応は非常に好意的で,その多くがVBのマルチプラットフォームサポート – HoloLensなどMicrosoftのテクノロジを含む – に期待を寄せている。Reed Kimble氏は言う。“まさにニワトリと卵の問題です。Microsoftが機能を提供しないのは要望がないからです。要望がないのはMicrosoftが機能を提供していないので,諦めなくてはならないと思っているからなのです。”
この記事を評価
- 編集者評
- 編集長アクション