Intelは最近Optaneというブランド名のもとで3D XPointという不揮発性メモリー(NVM)を立ち上げた。謳い文句の中にSSDのラベルがあることは、これが耐久性のあるストレージの異なる形態であることを暗示しているが、この技術は通常RAMを使用するであろうアプリケーションに向けられている。この出来事はメモリと永続化の間の妥協の終わりの始まりを示しており、Optaneはこれら双方の世界の最良のものを提供したと謳われている。つまり、DRAMの性能とSSDの耐久性の両立である。
Optaneは実際のところ3D XPointの最初の商用化製品である。ハードウェアは未だ未成熟であり、利点を生かすためのソフトウェアのエコシステムはまだ完全には開発されていない。OptaneはDRAMほどは高速ではないため、未だにメモリ上の性能と'ディスクへの'永続化の間のある程度の妥協を強いている。SSDという名前を背負ってはいないが、現状のところSSDとしてもパッケージ化されている。当初のデータセンターモデルは375GBの容量を持ち、PCIeカード(AIC)として提供され、これに間もなくU.2 SATA Expressのバリエーションが続く。一般顧客モデルはM.2パッケージの形で16GBと32GBモデルが用意され、少し以前にHDDのキャッシュとしてSSDが使用されたのと同様に、基本的にSSDの高速なキャッシュとして提供される。Intelは以前3D PointはDRAMモジュールを代替するためにDIMMとしてパッケージされると表明していたが、最初のOptaneのロードマップではそうなっていない。
Optaneのソフトウェアコンポーネントは立ち上げ時の現段階での能力を理解するための鍵となる。一般顧客バージョンは単純にキャッシュとして動作し、IntelのRapid Storage Technology (RST)により3D XPointを頻繁にアクセスされるファイルの高性能ストアとして活用する。Optaneをキャッシュとして使用するには、第7世代のCoreプロセッサーとこれに対応してサポート対象のIntelマザーボードが必要である。データセンターバージョンではIntel Memory Drive Technology (MDT) と呼ばれる新しいソフトウェアドライバを導入している。これはDRAMプールにOptaneのSSD容量を加えるものである。これはアプリケーションにRAMの大容量プールを与える効果があるが、これはDRAMとSSDを混合させるものであるため、永続領域として扱われるものではないことは特記すべきだろう。現段階ではこれは実際には(低速ではあるが)安価なRAMであるため、永続化よりは容量の問題を解決するものである。
Optaneの性能が正確にどれくらい良いかということは議論が必要な話題となった。SemiAccurateは、報道やアナリストへの性能データの提供方法が‘道徳上受け入れらない一線’に触れたとしてIntelを告発した。Hacker Newsでのこの件に関する議論では、この技術がシステムアーキテクチャにどう適合するのか、そのため揮発性メモリーと永続化ストレージの間のトレードオフがどの程度侵食されるかに関して混乱があった。しかしこれらの疑いと長引く疑問の焦点は、現時点で何が可能であるか、投資と時間によりこの技術が改善可能であるか、ソフトウェアはその能力を利用するために適応できるかということである。DRAMと静的RAMとの性能比較に関する同様の話題が10年前に持ち上がったが、DRAMが支配的になるにはそれほど時間は掛からず、静的RAMをダイ上のキャッシュとニッチな組み込みアプリケーションの世界に追い込んだ。
NVMへの移行から受けるアプリケーションとアーキテクチャの潜在的なインパクトは、Adrian Colyer氏のQCon London 2016の基調講演である‘不均一な分散化’で良く解説されている。DRAMに対して十分高速な永続化ストレージははじめはメモリーとディスクの間の境界を曖昧にし、究極的には選択自体を意味のないものにしうる。それは他の多くの概念的な拠り所や、ステートレス対ステートフルのような設計上の妥協を通り越し、その結果として、時が経つにつれてこの新しいハードウェアは現在ソフトウェア設計を支配している原則の多くを覆す可能性がある。
Rate this Article
- Editor Review
- Chief Editor Action