第1回のビジネスアジリティカンファレンスが先頃、ニューヨークで開催された。330人以上の参加で完売となったイベントに対する参加者と講演者の反応は、アジャイル思考を組織全体に適用する上での文化と価値観の重要性を際立たせると同時に、今日の不安定で不確実、複雑であいまいなビジネス環境において成功するために、ビジネスのアジリティがいかに重要かを痛感させるものだった。
今回のカンファレンスについては、次のような説明がある。
ビジネスアジリティとその活用に関する実例を、組織設計、市場の混乱と製品のイノベーション、IT以外のアジャイル、次世代のリーダシップといった点に注目しながら、端的に紹介します。
メインイベントは2日間で、3日目にはオプションとして半日のオープンスペースセッションが開催された。トラックはひとつで、セッション毎に複数の講演者がついた。セッションは20分のTEDスタイルの講演を3回行なった後、講演者と聴衆がそのトピックを一緒に探求する30分間の“ディープダイブ(Deep Dive)”を行なう、という形式だった。
セッションは組織設計の初歩的な導入から始まり、ガバナンスと戦略、リーダシップとエンパワーメント、変革のリード、ビジネスのイノベーション、人々を鼓舞して変化を促進する方法など、アジャイルアプローチをビジネスに適用する上で最適なトピックが幅広く取り上げられた。
カンファレンスに関するブログやレポートでは、参加者がイベントに満足していること、主催者がイベントの年次開催、あるいはそれ以上の頻度での開催を検討中であること、世界中のさまざまな場所で実施するというアイデアを模索していること、などが紹介されている。
ForbesのJason Bloomberg氏は、イベントの内容を要約した“Digital Transformation Requires Enterprisewide Agile Transformation”という記事の中で、イベントについて次のように述べている。
先週ニューヨークで開催された ICAgileの第1回Business Agility 2017カンファレンスにおいて明らかになったのは、アジャイルがテクノロジの枠を飛び越えて、ソフトウェアの世界の外へと拡大したということです。企業は今、アジャイルプラクティスの採用範囲を組織全体へと拡げることで、自らを飲み込もうと荒れ狂う海域の航海を成功に導こうとしているのです。
Jason Hall氏はLithespeedのブログ記事“The results are in: we need more business focused agile conferences.”の中に、今回のイベントで得られた重要な教訓と興味深い事実を列挙している。
最も深い思想: 信じないものは目に入らない – Pat Reed氏。
最も不思議な状況: ニューヨークで開催されたカンファレンスでありながら、ニューヨーク在住者(10人)はオーストラリア人(9人)より1人多いだけであった。
最も巧妙に心を掴んだプレゼンテーション: Renee Troughton氏による、周りの意見よりも決断を優先(decide-first-ask-for-inputs-later)するスタイルのリーダシップ下で自身が苦労した経験を、すべてアニメーションで示したプレゼンテーション。
最もクールなエグゼプティブ経営理念: 経営幹部を送り出す先をビジネススクールからハッカソンに変更して、現代的な製品をリードする方法を学ぶようにしたDBSの変革。
最も参考になったコンセプト: Amber King、Jesse Huth両氏による、“自己組織化チームから発現する最善のアーキテクチャ、要件、設計”の形を定めたSelf Selectionモデル。
最も見落とされがちで、最も有用なコンセプト: Ron Quartel氏のFASTAgile™。オープンスペースを使って2日間のイテレーションを実施し、最初の形成後も持続する自己組織化を可能にした。注: これは土曜日のオープンスペースセッションで議論されたものである。
Stephanie Ockerman氏がAgile Socksブログに、今回のカンファレンスで得た5つの教訓について記している。
- ビジネスのアジリティには、アジャイルデリバリチーム以上のものが必要である。
- ビジネスのアジリティでは、人に焦点を当てる必要がある。
- ビジネスのアジリティには、さまざまな形のリーダシップが必要である。
- ビジネスのアジリティには、イノベーションが必要である。
- ビジネスのアジリティは、より多くの透過性を必要とする。
カンファレンスを主催したICAgileのMDであるShannon Ewan氏は、イベントについて次のように述べている。
私たちICAgileは、第1回カンファレンスの参加者のレベルの高さに驚くとともに、現代の企業にとって新たに不可欠なものとなった、ビジネスアジリティにおける思想的リーダシップの促進に関与できる機会を得たことを光栄に思っています。
Solutions IQが何人かの講演者とのインタビューをポッドキャストに記録したものが、こちらに公開されている(2017年2月23および24日付)。
InfoQはカンファレンスのセッションを記録しており、今後数ヶ月にわたって公開される予定だ。
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