Googleは開発者向けにAndroid O Previewを公開するとともに、自らのアプリケーションを新OSでテストして、次期バージョンの一般公開に備えるように勧告した。Android Oの新機能には、バックグラウンドのさらなる制限、通知チャンネル、ピクチャインピクチャ、自動入力、アダプティブアイコン、APIの変更などがある。
Android Oには開発者向けの新機能が多数あるが、ここでは重要だと考えられるものを挙げる。
通知チャネル。チャンネルの導入によって、ユーザが通知をより詳細に制御できるようになる。これらチャンネルを使えば、複数のアプリケーションからのメッセージをグループ化することが可能になる。ユーザはチャンネルを有効/無効にしたり、重要度やサウンド、ライト、バイブレーション、ロック画面への表示を設定することができる。通知に対する優先順位の割り当ては廃止され、チャネルに設定される新たな7つの重要度レベルによって、通知の表示方法や、関連付けられるノイズ、ライト、バイブレーションなどが定義されるようになる。チャネルは複数のユーザーアカウントにまたがってグループ化することもできる。仕事用と個人用に併用するデバイスのチャネルを管理する場合には便利な機能だ。
バックグラウンド制限。 Android Oでは、バッテリ寿命とパフォーマンスを向上させるため、これまでより多くのバックグラウンド制限を導入している。新しい制限で影響を受けるのは、暗黙のブロードキャスト 、バックグラウンドサービス 、ロケーション更新などの領域である。 バックグラウンドで実行中のサービスは、数分後に停止する。このようなサービスを利用するアプリケーションは、数分間、一時的なホワイトリストに置くことができる。この間に、動作時間に制限のないサービスを立ち上げることが可能だ。アプリケーションで高優先度のメッセージなどのユーザに見えるタスクを処理する必要がある場合、ブロードキャストの受信時、ペンディング中のインテントを通知によって実行する場合などに、このような状況が発生する。
ロケーションの更新に関しては、バックグラウンドで実行中のアプリケーションにその更新が通知されるのは1時間に数回である。この動作はアプリケーションをフォアグランドにしたり、フォアグランドサービスを変更したり、ジオフェンスAPIを使用したり、あるいはパッシブロケーションリスナを使用することで変更が可能だ。
ピクチャインピクチャ(PIP)。 すでにAndroid TVでは利用可能なPIPがAndroidに提供され、他のアクティビティ内でアクティビティを表示することができるようになる。PIPはAndroid Nで導入されたマルチウィンドウの特殊なケースで、特にビデオコンテンツを再生するのに適している。
オートフィルフレームワーク。 Android Oでは、フォームへの記入操作の繰り返しを回避してユーザの時間を節約するために、アプリケーションがデータやオートフィルフォームの保存に使用できるフレームワークを導入している。ログインデータやクレジットカード情報を使った作業などに利用可能だ。
アダプティブアイコン。さまざまなデバイス上のランチャで、円形や四角形、八角形など、異なる形状を持つアイコンを表示できるようになる。Android Oでは、背景用とフォアグラウンド用という2つのイメージレイヤと、マスクを使用してランチャーアイコンを生成する。これらのアイコンでは視覚効果もサポートされる。
マルチディスプレイ。 複数のディスプレイを備えたデバイス上のアクティビティを、ひとつのディスプレイから別のディスプレイに移動できるようになる。
Java。Android OにはOpenJDK 8のjava.time
と、OpenJDK 7のjava.nio.file
とjava.lang.invoke
が含まれている。一部のベンチマークでは、ランタイムパフォーマンスが2倍に向上した。
その他のAndroid Oの改善点としては、XMLで記述されるフォントリソース、アプリ用のワイドガマット(wide-gamut)カラー、高品質なBluetoothオーディオコーデック、WiFi認識、キーボードナビゲーション、WebView拡張などがある。
Googleは開発者に対して、今回のAndroidバージョンがプレビュー版であり、完全には安定していないことの認識を求めている。次回バージョンは次月中に公開される予定だ。Android Oによる開発には、Android Studio 2.4 Canaryが必要である。テストはエミュレータを用いるか、あるいは一部のNexusおよびPixelデバイスでテスト可能だ。
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