GitHubのBalanced Employee Intellectual Property契約(BEIPA)は、開発者が仕事以外の知的創造を行なう権利をより多く認めるための、新たなバランスを表明する試みである。オープンソースプロジェクトとすることによってGitHubは、再利用や外部からのコントリビューションも可能にしようとしている。
BEIPAは従業員の自立と仕事と生活のバランスへのコミットメントとみなすことができる、とGitHubは述べており、どの企業でも採用が可能である:
BEIPAを使用している会社は、従業員の自由時間における知識生産の支配権を主張したり、雇用期間を越えて企業の支配権を拡大したりすることはありません。
サンディエゴ大学法学部のOrly Lobel教授がFortuneで述べているように、これは創造的作業に従事する労働者が入社時に譲渡契約にサインするという、これまで一般的であった慣習の変革という意味で画期的なものだ。
企業の傾向は、従来の法律の規定範囲では特許や著作権の対象とならない暗黙の知識 - スキルやアイデア、発見、技術など、すべての創造性をコントロールしようという方向にあります。
このような協定が持つ実質的効果の可能性は、開発者の権利に対してより保護的であるカリフォルニア州など、地方ごとの法律によって異なる。そうではあっても、このような合意がもたらす法的脅威に直面した場合、自身の知的財産を保護するための唯一の方法は、創作作業の進捗過程を詳細にすること - 自身の発明に関する作業をいつ、どこで、どのようなツールを使って行なったかを文書化することだ、とLobel教授は指摘する。
GitHubのBEIPAはカリフォルニア州の法律をさらに進めて、企業の機器を使用した場合においても、特許性を含む知的財産権を開発者に認めている。
... “あなたが創造した、あるいは従業員ないし請負業者として創造を支援した”ものであり、“開発、発明、ないし創造した時点で存在した、あるいは将来的な企業製品ないしサービスに関連するもの”、または、“既存の企業IPを使用して、あるいは企業の承認を得て開発ないし推進されたもの”、と定義されています。
企業の従業者が創造したIPを扱うために、よりバランスの取れたアプローチを定義しようとする試みは、BEIPAが初めてではない。注目すべき例としてRackspaceで採用されている従業員IP契約もあるが、オープンソースとしてリリースし、広くコントリビューションを求めたGitHubの目標は、これを新たな業界標準とすることにある。
BEIPAは現在、米国内で施行可能なように策定されているが、GitHubではフィードバックを通じて、他の地域でもより有用なものにすることを望んでいる。
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