先頃設立されたW3CのWeb of Thingsワーキンググループが標準化作業を開始した。このワーキンググループ(WG)は、過去にWeb of Things Interest Group(IG)が実施した調査から生まれたものだ。WGはこれまでの調査結果を元に、“モノのインターネット”デバイスと、それらに接続するマシンやサービス間の相互運用性を定義する新たな標準を目標として、共同作業を実施する。
IoTデバイスとAPIの間にますます広がる断片化について、W3CのJeff Jaffe博士は次のように述べている。
IoTの断片化を克服することができれば、モバイル事業者のみならず、すべてのビジネスにとって巨大かつ革新的なチャンスがあります。Open Web Platformの指揮官であるW3は、この目標を達成するために必要な、ロイヤリティフリーでプラットフォームに依存しない標準を実現する特別な立場にあるのです。
2016年3月8日のブログ記事で博士は、“物理層には標準があるが、上位層では相互運用性が不十分”だと述べている。新たなワーキンググループの綱領の導入部には、新たに発展しているこれらの標準も対象として明記されている。
これらの構成要素は、さらに別のIoT標準を作り出すのではなく、プラットフォームやドメインを越えた相互運用性の実現を重視、既存および新興の標準を補完することを目的としています。
ここで述べた構成要素には、 WGの範囲として定義されている4つの項目、すなわち標準が定義されるエリアが含まれている。
Thing Description
アプリケーションに対して公開されるデータおよび相互作用モデル、プロトコルの提供する通信パターンの選択、リソースが制約されたデバイス上での処理、および制約のあるネットワーク上での送信に適したシリアル化フォーマット、といったものを記述するための意味論的な語彙集。
スクリプティングAPI
Thing-toThingインタラクションとモノのライフサイクル管理を目的とした、プラットフォーム非依存のアプリケーション指向API。
バインディングテンプレート
抽象的なメッセージを、特定の組織と共同で作業するための共通プラットフォームとプロトコルにマッピングするための例。
セキュリティとプライバシ
ビルディングブロックを統合した分野横断的なポリシとメカニズムによって、さまざまなIoTプラットフォーム間での安全かつ安心なインタラクションを実現するためのセキュリティポリシとプライバシポリシの表現および実装。
グループの議長はMatthias Kovatsch(Siemens)、Kazimo Kajimoto(Panasonic)、Michael McCool(Intel)各氏が務め、公開メーリングリストとGitHubが運営するリポジトリを中心に作業を進める予定である。
WGでは“WoT Architecture”、“WoT Thing Description”、“WoT Scripting APIs”という3つの標準要件文書を作成する予定の他、仕様情報として“WoT Binding Templates”の公開を計画している。W3Cプロセスは、テストケースに合格するための実装要件が含まれており、共同作業と試験の実施が奨励されている。
Web of Things(WoT)やIoT(Internet of Things)に関心のある企業や個人は、公開メーリングリストやリポジトリに参加するとよいだろう。W3Cメンバ(組織および個人)は毎週実施される電話会議や対面での会議を通じて、Web of Thingsの今後の標準を決定するワーキンググループの意思決定プロセスに参加することが可能だ。
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