Microsoftはブログで、Azureで企業向けのブロックチェーンの概念実証(PoC)を推し進めるためのフレームワークを発表した。Microsoftは顧客がスマートコントラクトを使ったビジネスシナリオを作ることに注力し、分散台帳技術(DLT)を支えるインフラには時間をかけなくて済むようにしたいと考えている。
ブロックチェーンのPoCは時間がと労力がかかる。MicrosoftはこのPoCに関連する時間とコストを削減しようとしている。同社でイノベーションの応用に関するディレクターを務めるMarc Mercuri氏は次のように説明している。
私たちの顧客がブロックチェーンのPoCにかかる時間とコストを見積もると、8週間から12週間かかり、300000ドルもかかる、と試算します。時間がかかり高価で、巨大な機会損失になっています。PoCの実現性を素早く理解することはブロックチェーンに対する理解を促進することであり、プロジェクトに関わる時間とコストを削減できます。
ブロックチェーンの応用には完全な分散環境を構築するためのコードとサービスが必要だ。さらに、Microsoftが足場と呼ぶオーバーヘッドもあり、この領域には摩擦を削減する機会がある。氏は次のように説明する。
Microsoftは、PoCの時間の大半はブロックチェーンに関するコードと機能の構築に費やされていることを確認しました。“足場”と呼ばれる部分の構築です。この作業には、レスポンシブなウェブクライアントの構築や、ゲートウェイになるAPIの開発と配置、SQL DBのような技術でのオフチェーンストレージの実装、レポートと分析の構築、IDとキーと鍵管理の統合などが必要です。
同社が発表したPoCのフレームワークを使えば、顧客はAzure Resource Manager (ARM)のテンプレートを使ってコードとAzureサービスを発行できる。ARMテンプレートはJSONファイルであり、Azure内でサービスをプロビジョニングする式とパラメータで構成される。このフレームワークを使えば、顧客は次のようなリソースを簡単にプロビジョニングできる。
ゲートウェイAPI、ウェブアプリケーション、Azure Active Directory、Azure Key Vault統合そしてSQL DBです。
このシナリオでは、SQL DBでオンチェーンのデータの収集をするように構成できる。適切なレベルの認証を提供するため、MicrosoftはHashing and Signingサービスも提供する。ブロックチェーンのデータはオフチェーンのストアにも複製されるので、顧客企業が既存のスキルを活用して、Power BIやチャットボット、機械学習、R、Azure Data Factoryを使うことができるようになっている。このフレームワークを支えるのは、Azure Event Hubsと呼ばれる発行/購読エンジンだ。Azure Event Hubsを使うことで、顧客はAzure Stream AnalyticsやAzure Data Lakesのようなサービスも活用できる。
Microsoftはブロックチェーン上にウェブアプリケーションを構築するのをより簡単にしようとしている。Mercuri氏は次のように説明する。
このフレームワークはコードを書かずにウェブアプリケーションを構築することを可能にします。スマートコントラクトが提供するメタデータを使って動的に、文脈を理解したユーザー体験を提供します。
このフレームワークは先月ニューヨークで開催されたConsensus 2017でデモが行われた。現時点ではプライベートプレビューだ。
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