ドイツのベルリンで開催されたCloudNativeConでCloud Foundry Foundationが、Cloud Foundry Certified Developer(CFCD)トレーニングおよび認定プログラムの創設を発表した。Cloud Foundryのいずれかのディストリビューション上での開発とクラウドネイティブアーキテクチャ設計に関する実践的経験を持つ求職者のトレーニングと検証を目的とした、コミュニティベース、独立型、ベンダ中立のプログラムだ。
CFCDプログラムはLinux Foundationとのパートナシップの下で提供される。Linux Foundationは2003年以来、Linux開発とシステム管理、OpenStackに関する重要なスキルと認定において、215以上の国で80万人以上の学生をトレーニングした実績を持っている。認定の主な目的は、“喫緊のクラウドネイティブ開発者不足”という問題に対処すること、開発者が最初の仕事探しや現在の役割のアップグレードを行なう場合の自己PRを支援すること、この2つだ。
InfoQはCloudNativeConにおいて、Cloud Foundations FoundationのエグゼクティブディレクタであるAbby Kearns氏と席を共にして、CFCDプログラムを開始した動機について質問した。
ディジタル移行を促進するために企業は、Cloud Foundryのようなプラットフォームを探しています。アウトソーシングの代替策として社内チームの育成を考える企業は、今後ますます増えるでしょう。[...] CFCDプログラムは、Cloud Foundry上で動作する、効果的かつクラウドネイティブなアプリケーションの開発を実現すると私たちは考えています。
Cloud Foundry Certified Developerプログラム全体としては、次のものが含まれている。
- edXプラットフォーム経由で提供される、無償のCloud Foundry入門コース。
- 有償で自学形式のCloud Foundry Developer Eラーニングコース。
- 対面型Cloud Foundry開発者クラス用にライセンスされた教材を含む、トレーニングパートナプログラム。
- パフォーマンスベースの試験の合格者個人に対して授与される、Cloud Foundry Certificated Developer認定。
Kearns氏は、さまざまな規模の組織がCloud Foundryを活用して、さまざまな基盤インフラストラクチャ上の、場合によってはさまざまなCloud Foundryディストリビューションに対して、一貫した開発者体験を提供している現状に関して説明した。
Cloud FoundryはHSBCやFidelity、Citibank、Allianzといった企業で採用されています。これらの企業では、会社として開発者をサポートすると同時に、開発からデプロイメントまで一貫したエクスペリエンスを持った、自由なコード開発を目指しています。CFCDプログラムによって私たちは、どのCloud Foundryディストリビューションにおいても効率的な作業をするために必要なスキルを開発者に提供し、検証することを目指しているのです。
CFCDのWebサイトには、Cloud Foundry Developer Certificationがコミュニティベースで独立性を持ち、なおかつベンダ中立であることと、求職者が認定Cloud Foundryディストリビューションにおける実践的経験を備えていることの検証を目的とするものであることが述べられている。現時点での認定プラットフォームは、Huawei FusionStage、IBM Bluemix Cloud Foundry、Pivotal Cloud Foundry、SAP Cloud Platform、Swisscom Application Cloudなどだ。認定の有効期間は、候補者がプログラム認定要件を満たした日から24ヶ月間である。認定の有効性を維持するためには、現在の認定資格が満了する前に更新要件を満たす必要がある。
Cloud Foundryプラットフォームにおける開発能力と運用能力の両方を証明する上で、今回の認定が重要であるということを、Kearns氏は何度も強調した。
セキュリティやデータガバナンス、変更管理といったものを管理するためのガイドラインを提供するためのプラットフォームを、企業はこれまで以上に求めています。これによって開発者は、コーディングに集中し、ソフトウェアの提供を通じて付加価値を高めることが可能になります。[...] クラウドネイティブな開発者は、クラウドアーキテクチャと運用の原則に長じてなければなりません。
認定試験の受験者は、Cloud Foundryで動作するソフトウェア開発を実践した経験を持つことが必要だ。試験の完了時間は最大4時間に設定されており、Cloud Foundry環境と対話するための、ブラウザ上で動作するBash風のコマンドラインインターフェース(CLI)を使用したパフォーマンスに基づく一連の質問と、複数の選択肢を持った質問のセットとで構成されている。試験に含まれるトピックは次のようなものだ。
- Cloud Foundryの基礎
- クラウドネイティブアーキテクチャの原則
- クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティ
- Cloud Foundryのサービスの使用
- Cloud Foundryのアプリケーション管理
- Cloud Foundry内のコンテナ管理
- Cloud Foundryにおけるアプリケーションのトラブルシューティング
パフォーマンスに基づく質問のいくつかは、回答として“適度な量のコーディング”が必要だ。そのような質問では、サポートされている3つの言語 – Java/Spring、Ruby、Node.jsから選択して回答することができる。この質問で求められているのは習熟したひとつの言語による回答であって、複数の言語で質問に答えることによる追加点はない。試験の間は、オープンソースのWebベースエディタであるEclipse Cheの他、VimやEmacsといったテキストエディタを使用することができる。
技術的能力は非常に価値あるものではあるが、アジリティを標榜する企業にとって万能薬ではない、とKearns氏は論じている。
文化が最も変化し難いものであることは明らかですが、Cloud Foundryプラットフォームは、技術的変化を引き起こす上で、優れた触媒として作用する可能性があります。これは結果として、企業内に変革と革新をもたらすかも知れません。
5月上旬になれば、edx.orgプラットフォーム経由で提供される無償の入門コースへの登録が可能になる。また6月13日には、自分のペースで実行可能なEラーニングコースの“Cloud Foundry for Developers”が500米ドルで公開される予定だ。最大4時間を要する認定試験は、オンラインで、300米ドルで受験できる。
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