Kapor Center for Social Impactは、技術職に従事する人々が職を辞した理由について調査した、2017 Tech Leavers Studyの調査結果を公開した。今回の調査で得られた結論は、主に次の4つである。
- 不公平は離職の動機となる
- エクスペリエンスはグループによってまったく異なる
- 不公平による損失は年間数十億ドルに及ぶ
- 多様で包括的なイニシアティブが適切に実施されれば、文化の改善と離職率の低減が期待できる
この調査は過去3年間にわたって、技術的な職業を離れた2,000人以上の米国人の経験を調べたものだ。調査では以下の質問をした。
- ハイテク産業の従業員の離職には、どのような理由がありましたか?
- ハイテク産業の従業員としてのエクスペリエンスはどのようなものでしたか、それは離職とはどのように関連しましたか?
- 異なるバックグラウンドを持つ専門技術者に特有の、離職に関わるエクスペリエンスや要因はありますか?
- 従業員の自発的な退職による財務面および企業評価面でのコストには、どのようなものがありますか?
- 離職率を低減し、多様なバックグラウンドを持つ専門技術者を保持するために、どのようなプラクティスが有効でしたか?
調査の結果には、不公平が多く差別が定常的であるという、この業界の陰鬱な現実が描き出されている。企業を離れるのおもな理由として、離職者の37%が不公平をあげた。
- 離職の理由として最も多いのは、職場環境における不公平や虐待だ - サンプルの37%が、辞職を決定した主要な要因として不公平な扱いをあげている。
- 不公平な扱いを理由とする離職は、よりよい機会を求めるため(35%)、職場環境への不満(25%)、スカウト(22%)、職務や責任への不満(19%)などより多い。事実として、不公平な扱いを理由とする離職は、スカウトによる雇用のほぼ2倍に達している。
- さらに、その他の理由で雇用元を去った個人の中にも、理由のひとつとして不公平を挙げているものがある。よりよい機会を求めて離職した35%中の15%が、不公平が離職を決めた理由のひとつであったと認めている。また、スカウトされた人の約25%は、不公平な扱いが自らの決断に影響したと答えている。
さらに詳しく見ると、不公平は特に少数派グループにおいて顕著であることが分かる。
- 少数派の有色人男性は、白人/アジア人男性(39%)に比較して、不公平を理由とする離職率がわずかに高い(40%)。また、不公平を主な離職理由とする有色人女性の離職は、白人やアジア女性よりもさらに多かった(36%対28%)。
- 不公平はハイテク産業でより顕著である - ハイテク産業以外の技術系従業員に比較して、離職理由として不公平をあげるハイテク産業の従業員はかなり多かった(42%対32%、p<.00)。
- ハイテク企業においては、技術職の従業員が、それ以外の職の従業員よりも不公平を理由とする離職の率が有意的に高かった(40%対32%、p<.00)。
報告書では、企業がいくつかの問題を克服する上で実施可能な、具体的なアドバイスを提供している。個別の要因として最も大きなものは、多様性を受け入れる包括的な施策を実施することだ。他のどのイニシアティブを単独で実施するよりも、不公平のエクスペリエンスが大幅に減少している。アドバイスの内容は次のようなものだ。
包括的なD&I(Diversity & Inclusion)施策の実施: 多様性を包括する総合的な施策の立案と実行。トップによる明確なリーダシップに始まり、企業の価値感、文化、ビジネスモデルに合わせてカスタマイズや調整を行なう。多様性を受け入れる上でのCEOや役員チームによるリーダシップは、あらゆるイニシアティブを成功させるために不可欠なものだ。
包括的な文化の創造: 違いを評価し、共感を実践し、尊敬を基盤とした、歓迎の文化の創造に努めること。基本的な価値観を確立し、職場(および仕事に関わるすべての場所)において適切な行動と不適切な行動との境界を定義し、各従業員に対する同僚や企業が設定した境界を尊重することへの期待を明確にする。
効果的で公平な管理プロセスの確立: 現行の報奨および業務管理のプラクティスを潜在的な偏見の面から監査する。今回の調査では、少数派の有色人女性が昇級の機会を得られなかった - それにより離職した - という報告が最も多いため、昇格に関するプラクティスを定期的に監査し、調査結果に基づいて行動することが重要だ。
報告書の全内容はこちらから入手可能である。
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