Hiscoxでは、クラウドプラットフォームへの移行が媒介となってエンドツーエンドのDevOpsが取り入れられた。同社のCTOのJonathan Fletcher氏はロンドンで開催されたDevOps Enterprise Summitで講演をした。
Fletcher氏の講演は‘Sorry Mr(s) Ops, We Hadn’t Forgotten You - Part Two of the Hiscox Story’というタイトルだった。この講演は、2016年の自身の講演を下敷きにして、次第にわかってきた改善のインパクトについて語った。リリース作業に関わる人を8人から2人に減らし、1週間に2度行なっていたリリースを1日15回にして、さらに配置にかかる時間を4時間から12分に短縮した。ITの運用は見逃されていた。この成功は開発チームと継続的デリバリのパイプラインの成功だ。DevOpsの運用の役割とDevOpsの原則の実践を拡大していく方法を考えた結果、Hiscoxは柔軟性と安定性を増しとコストを削減するための基礎をクラウドに構築するという戦略にたどり着いた。
Fletcher氏によれば、同社が選んだクラウドベンダはAzureだった。Amazon Web ServicesとMicrosoft Azureがこの業界のリーダーである、という認識の元、意思決定がなされた。最終的には同社がすでにMicrosoftの技術を使っていたことでAzureを選択することになった。
クラウドの利点を享受できるようにする再設計を行わずにアプリケーションを単に‘持ち上げて動かす’というのが当初の移行方針であり、これには忌避感があった。しかし、この忌避感はなるべく早く移行をしてその後に修正をするという見方にとって変わられた。2017年末にはHiscoxの3つの最も大きいシステムがAzure上で稼働する。
Fletcher氏の期待では、2020年には、HiscoxはITを‘便利な御用聞き’ではなく、戦略的、競争的な優位を生み出すものとして活用している。
InfoQはFletcher氏にこのテーマについて詳しい話を聞いた。
InfoQ: 講演の聴衆は、あなたが使った‘IT-Less IT Team‘という言葉を気に入ったようです。仕事に取り掛かるために必要な最初の一歩は何でしょうか。
Jonathan Fletcher: ITの視点から考えると、最初の一歩はツール、プロセス、そしてアイディアをITの中で整え、共通のプラットフォームを作ることです。そして、ITとビジネスと深く統合してから、要素としてのITを取り除く、ITのスキルをビジネスの価値の流れに埋め込みます。Hiscoxでは、ITに対する予算が多くあり、クラウドを使って、裁量的な費用としてビジネスに還流させています。
私たちの人生で本当に面白いのは、子供たちがITをどのように利用するかを見ることです。私の2人の子供は、iPadをとても楽しく使っています。大学を卒業してくる人々は、ITの中に身を置く必要なしで、多くのITスキルを身に付けるているでしょう。新しい世代の登場によって、ますます多くのITスキルがビジネスのあらゆる領域に出現します。
クラウドへの移行と、ITを構築ではなく利用するという考えも、上述した流れを自然に生み出すでしょう。SAASを使って、適切な製品かどうかを確かめるためのデューデリジェンスを行うということは、自分たちで設計と構築を行うというスキルセットとは別のものです。これによってITのタッチポイントは減るでしょう。
InfoQ: あなたが強調した、’私の仕事じゃない’という言葉は多くの読者が聞いたことがあると思います。これはDevOpsのアンチパターンです。これを変えるための戦略を教えてください。
Fletcher: これは文化の問題です。単一のチームであることに注力する必要があります。そして、皆に責任があるという態度を共有しなければなりません。サイロ型は引き継ぎを産みます。アジャイルマニュフェストでは、私たちは個人ではなくより大きなチームの一部であるという考えを基本にして、このような状況を支援します。
InfoQ: あなたは、クラウドファーストな態度はDevOps革命を促進する、と話していますね。クラウドファーストとDevOpsの繋がりについて教えてください。
Fletcher: DevOpsを実践しなくてもクラウドを利用できますが、そうするべきかどうかは疑問です。問題をクラウドへ持ち込んだだけになってしまうからです。クラウドへの移行でもたらされるものはデリバリの方法に取り組む時間であり、スピード、品質、セキュリティと性能を改善する時間です。
InfoQ: DevOpsはビジネスで競合相手を出し抜くためにとても重要だと話していますね。なぜでしょうか。
Fletcher: ITの役割の変化に関わります。IT部門は、ビジネスの便利な御用聞きですが、双方向の会話が成り立つようになっています。8時間かかっていたプロセスが12秒で終わるようになったとしたら、それはビジネスにとってどのような意味があるのか、というような質問をする必要があります。特に、保険とはリスクを理解することです。これはデータの問題です。データの問題を理解すれば、顧客により良いサービスを提供できます。
InfoQ: DOESの多くの組織のように、運用を回すのには課題があったようですね。DevOpsが開発者によって実現されるという問題です。なぜこれが起きるのでしょうか。どのように対策すれば良いのでしょうか。
Fletcher: 開発へのフォーカスが起きる原因は、開発サイクルの変更には明らかな価値があるからです。というのは、ビジネスはより多くの変化を求めているからです。継続的デリバリの理論は、アジャイルと同じように、速度を変えることで人々に興奮させました。これは、ソフトウェア開発の視点から生まれたものです。運用担当者にも同じ旅を歩ませる必要があります。ウォーターフォールを離れ、自動化をし、リーンのツールとVSMを使うようにさせるのです。運用担当者にとっては大きな飛躍です。このような働き方に慣れていないからです。彼らにとっては飛躍的な進歩です。トレーニングやメンタリング、コーチングでこの動きを支援できます。
InfoQ: 今年のDevOps Enterprise Summitで得られた一番価値のある洞察は何でしょうか。
Fletcher: ITSM対ALMは、このふたつに互いに馴染みのない場所で、技術とプロセスへの取り組み方についての会話を促進する大きなテーマです。
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